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兎鳥庵 日記

インコ2羽と ウサギ5羽にヒト1人の日常です。 - ときどき実験ウサギさん里親募集 -

命の話

こちらの記事 (あえてタイトル全文表示しません m(_ _)m )

【マウスもダメ、犬もダメ… 】


リンク先の記事の内容が事実であり、それ以上でもそれ以下でもないのですが。
ついているコメントがひどくて、ちょっと悲しくなりました。

かくも愛誤に洗脳されている方々・・・ 
というと語弊があるかもしれませんが、殺処分ゼロと同じで、夢物語を信じて疑わない方が多いのでしょうね。
(動物実験ラボが虐待をしているというのも夢物語)

将来的には動物実験を限りなく減らしていくことはできるのかもしれませんが、現時点では医療の世界でそれは無理です。
何でも代替法が使えるわけではありません。
メーカーにしても、ラボにしても、いらぬ実験をやっていられるほどお金もヒマもありません。

医薬品等の安全性試験(動物実験)は国が定めた法令やガイドラインに則って実施されています。
(裏を返せば、それをやらないと新薬の承認がおりないということ)
ラボには厚労省所管の医薬品医療機器総合機構(PMDA)が3年に1度、施設とデータの監査に来て、近年はかなり厳しい調査が行われています。
動物福祉は彼らの管轄外ではありますが、それでも、試験データの信頼性を盾に切り込んでこられることもあります。

命に関わる仕事です。
メーカーも、ラボも、審査する側も、そして動物屋さんも、みんないい仕事をするためにギリギリのところまで頑張っているのです。

動物相手の仕事ですから、社内でも、業界内でも動物好きの方が多いです。
それでも、誰かがやらなくてはいけない仕事だから、これが自分に与えられた仕事だから、皆、そこは割り切って働いています。
が、心の中では泣いているのですよ。


あのアビガンも幾多の動物たちの命と引き換えに承認を得ました。
催奇形性という副作用があるのも、動物たちが教えてくれたことでした。

新型コロナウィルスのワクチンや治療薬を待ち望む声を上げつつ、あのようなコメントをされる人がいるとすれば、狂っているとしか言いようがないです。
いや、当然ながら動物実験に反対される方々はワクチンが開発されても接種は辞退されるのでしょうし、ウィルスに感染しても治療は拒否されるのでは?
なんて思ったりもしておりますが。


実験動物の供給に遅れが出れば、それはそのまま新薬の開発の遅れにつながります。
その分、ラボがねじ巻いて(巻かされて?)頑張ってる、ってのもありますが。

記事の業者さん、本当に頑張っていたのですよ。
愛護団体の妨害でイヌを成田でおろせなくなった時も、サルを乗せてくれる飛行機がなくなったときも、寝る間を惜しんで四方八方、手をまわして手配してくださっていました。
おかげで、イヌもサルもいらぬ長旅を強いられて、到着した時にはそれは可哀そうなことになっていたものですが。

我が家の歴代の白うさぎ(ペコ以外)も、そこの業者さん出身。
ウサギは儲けにならないから手を引きたいといいつつ、長年、おろしてくださいました。
繁殖は外部委託していたので、今も別の業者さん経由で同じウサギたちがやって来ますが。

取引先に迷惑をかけないように、事業停止した時も引き継ぎ先をすべて手配してくださっていました。
というわけで、(残念ながら?)その後も動物の調達にはなんら支障は出ておりません。。。


人づてに聞いた話では、事業停止となった日、規制線が張られて敷地への立ち入りが禁止されたとき、職員さんが
「動物がいるんです、お願いします!
お願いします、動物がいるんです・・・・
せめて、水と餌だけはあげてください・・・」

と泣いてすがっていたとか。

結局、そのとき施設内にいた動物たちがどうなったのかは知るすべもなく(涙)
数年前、ある動物試験のラボさんが倒産した時も、そうだったと聞きます。

理由はともかく、事業継続できなくなった時点で何百、何千という動物の命が無駄になります。
この世に生を受けた、本来の使命を全うすることなく。


この世のすべての生き物は他の生き物の命を消費して命をつなぎます。
食べるために、住まうために、他の生き物を利用します。
人間もまた。
他を殺さずに生きられると思うのは、人間の傲慢さゆえではないでしょうか。
自分だけは手を汚さずに生きられると思う錯覚と。

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コメント


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涙も出ないほど、胸が苦しいです。以前、ちゅんちきさんにお話を伺っているので、そちらの動物の界隈のことは理解しているつもりですし、「食べる」という形でいただく命にも感謝しつついただいています。ただ、感情的な反発も自分の中にはあり、猫のおもちゃにうさぎ毛皮を使ったものは買わないとか、ありますけども。あの…本当に…命は命を継いでいく、そのためにも人、ひとりひとりがしっかり生きていかなきゃいけないんだということを、強く思います。「本当のこと」を理解してくださる方が一人でも増えることを、願っています…。

西村晴子 | URL | 2020年06月19日(Fri)23:50 [EDIT]


お返事

西村晴子さま
苦しくさせてしまって、ごめんなさい。
ちょっと書きすぎました・・・。
食べるために・・・というのは生き物として自然な行為ですし、感謝していただくというのが正しいあり方だと思います。
その延長線上で、毛皮であったり、安全に暮らすための実験であったり、ということがあるのだと思います。
自分も毛皮は買いませんが、アンゴラの毛くらいなら入っていてもいいかな?と思っていたのですが、どうやってその毛を取っているのかということをを知ってからは、そういった製品を避けるようになってしまったということはありました。ただ、それも、たまたまそういうやり方をしている業者があったというだけで、大多数はそうではないかもしれない。それでも、疑わしきは近寄らずということで。
でも、普通はそこまでですよね。自分はそういうのはイヤだというだけで、自分の基準に合わないからと言って、その人たちから仕事(生活)を奪おうとは思わないです。
毛皮もアンゴラの毛もなくても生きていけますが、食べるものや医療に関してはなくてはならないものです。
人の感情をあおって、それを妨げようとする方々がいるのは残念に思います。
ちょっと前、製薬メーカーさんの動物試験に関わる方に、だまし討ちのようなインタビューをして本人の意図とは全く逆の印象を与えるかのように編集して書籍に載せられたという話もありました。本に書かれているから、新聞や週刊誌に載っていたからというだけで信じてしまう人も多いと思います。
日本では、メーカーさんもラボも批判を恐れて情報発信しなくなるから、余計に一方的な情報だけが一人歩きする事態になっているというのもあると思います。本当に残念です。

ちゅんちき | URL | 2020年06月21日(Sun)00:43 [EDIT]


いえいえ、苦しいかという問題についてはお気になさらないでください。動物を愛する以上、必ずついて回る問題ですので、覚悟して向き合わなければならない問題です。

アンゴラの毛については、とても嫌悪感を抱く情報も出回っていますが、私自身アンゴラのブリーダーさんにインタビューしたことありますが、いわゆる「毛刈り」される繊維業者もいるとのことでした。参考:https://youtu.be/Y7ji_lJF-qI

こういうのも、分断が起きている事例だと思います。分断と多様性は似て非なるもので、多様性は重視されるべきと思いますが、分断は起こしてはならないと思うのです。そのあたりをどう包括していくか。これは社会問題としてはレベルが高いというか、問題の大きさということでは本当に大きいものなのですが、少しずつでも事実のありようというのを伝えていかなければならないのかなと思っています。

私自身その思いから、以前ちゅんちきさんにお話を伺い、動画発信しました。しかしまだまだですね…世の中に訴えるには力が足りません。それでも、力が足りないからと諦めるのではなく、続けていかねばと考えています。

「批判を恐れて」というお話がありましたが、正しい批判はあってしかるべきなんです。あっちゃいけないのは、非難および誹謗中傷なんですよね。事情をよく知らない人たちが感情をそのままぶつけてくるのは、批判ではありません。恐れることは何もないんです。逆に、そういうのには取り合わずに(「取り合わずに」というのが重要)、現場の情報を、正確に発信していくことが必要なのではないかと思います。

ただ…そうは言っても、発信することには覚悟がいることも事実でして、私が今こういうことを言えるのも、私自身が発信者としての覚悟ができているからだろうとも思います。また、現場では手が足らないだろうということも想像がつきます。

理想を追い求めるのは本当に難しいことです。せめて現場の方たち、ちゅんちきさんを含めた皆さまが、心理的に出来得る限り萎縮しないよう願うより他ありません。命を賭した動物たちのためにも、どうか、より良い方向に事態が動いていくようにと、願っています。もちろん、何かお手伝いできることがあれば、お申し付けください。できる範囲で、やっていければと思います。

西村晴子 | URL | 2020年06月22日(Mon)12:42 [EDIT]


お返事

西村晴子さま
物事にはいろいろな側面があり、正義は一つではないということを理解しあい、それぞれの立場を尊重できる社会になることを願います。
残念ながら例の事件後、どこのラボも個人的であっても取材NGになったと思います。
正しく報道されないなら自ら情報発信しようという方向にならないのが日本だなぁ・・・と思っております。

ちゅんちき | URL | 2020年06月24日(Wed)23:26 [EDIT]