
手術の1週間前に術前の健康診断に連れて行ったところ、最後に先生が
「りんちゃんは、ちょっと子宮が心配です。」
とおっしゃったのが引っかかっていました。
きちんとした年齢も分からない子ですので、すでに子宮がんになっている可能性もありました。
もし、そうだったら、進行の度合いにもよるけど、募集は打ち切るかな~という気でおりました。
手術当日、午前中に連れて行くと、勤務医さんがちゃきちゃき預かってくださって。
午後の勤務開始時間に間に合いそうだったので、自分はそのまま仕事へ向かいました。
そして、ちょうど仕事を始めようとした13:30、携帯が鳴って、先生からのご連絡。
「お年の方の・・・りんちゃん、麻酔がすごく不安定で。
採血のときも動脈血をとっているのに、まるで静脈血なんです。
それで、レントゲンを撮らせていただいたんですけど、心肥大と肺に腫瘍みたいな影があるんですよ。
心臓は、まるで8歳、9歳の心臓って感じで。
もしかしたら、手術しても痛い思いをするだけになってしまうかもしれません。
やめてくれということでしたら、やめますが・・・。」
暑い中、車を運転してきた後で頭がグルグル回っていたんですが、先生が何をおっしゃっているのかはすぐに分かりました。
子宮がんが肺に転移している。
もしかしたら・・・
とは思っていたけれど、すでに肺にまで行っているという事態は想定外でした。
「え、、、だって、せいぜいまだ3歳か4歳かそのくらいなのに!?
でも・・・実際に開けてみるまでは分からないですよね?
もし、そうだったら、どっちみち助からないのかもしれませんが・・・。」
「肺の影も腫瘍と決まったわけではないので。
石灰化しているだけかもしれませんし。
ただ、僕の経験では、2歳半ですでに肺に転移していた子を見ています。」
一瞬、迷ったけど、でも、 「それなら、やめてください」 とは言えなかった。
9割9分アウトなのかもしれない。
でも、ここでやめたら、りんちゃんのわずかな可能性をつぶしてしまいそうな気がして。
無理に手術を強行して、結果、手の施しようもない状態だったら?
私はなんと無慈悲な飼い主なのだろう?
でも、自分としては、可能性がある限り手を尽くすべきだという思いがありました。
「血液検査値の方は異常ありません。
肝臓も腎臓も大丈夫です。
手術中はずっと酸素の圧をあげてやりますので、麻酔の心配もありません。
手術は問題なくできますから。
今、もう剃毛を始めているところですから、じゃあ、やりますね。」
先生も、私がやめてくれとは言わないことを知っていて電話をかけてくださったのでしょう。
やるべきでないと思ったら、こちらが頼んだってやってくださらない先生です。
そこまで準備を進めたうえで連絡をくださったということは、先生ご自身もやった方が良いという判断なのでしょう。
りんちゃんの強運を信じて、すべてを先生にお任せすることにしました。
間に合わなかった。
間に合わなかった。
なんで、引き取ってすぐに手術をお願いしなかったんだろう?
ボロ雑巾みたいにどろんどろんで痩せこけていたとしても、あの時すぐにやっていたら、転移だけは免れていたかもしれない。
その後、半べそかきながら仕事をしていたのは、いうまでもありません。
おそらくは、りんちゃんの余命宣告を聞くことになるのであろうと、仕事を終えてから病院へお迎えに行きました。
こっちはもう、どよーーーんと暗かったんですが、診察室に入ると、なんか、先生、さわやか?
2人とも、問題なく手術は終わったそうです。
ただ、りんちゃんは、卵巣が癒着していて取り出すのがものすごく大変だったとか。
それに、突然急にお腹が動き出したりとか、なかなかスリリングな手術だったようです。
術後はずっと酸素室に入って、痛み止めのメタカムとプリンペランも飲ませていただいたそうです。
りんちゃんは、体温の上りがすごく悪いので、ケージにボード型のヒーターを入れるようにとのことです。
うげ、このクソ暑いのにヒーター!?
と思いましたが、それだけ状態が悪いのでしょう。
そもそもが麻酔が不安定だったということと、それだけ体温維持の難しい子を術中、コントロールするのはさぞ大変だったことだろうと頭が下がりました。
こういう子は麻酔から覚めないことも、普通にあるでしょう。
「具合が悪いとすぐに冷たい方へ行こうとしますから、気を付けてください。
ヒーターのある場所とそうじゃないところを自分で選べるようにしてください。」
とのことです。
さて、懸案の子宮ですが・・・
何でもなかったそうです。
目の前にブツを出されても、何でもなかったというのがにわかには信じられず(爆)


(

どう見たって、どうもないのだけど。
「組織検査に出してみようかとか、そんなことも思わないくらい?」
って聞いてしまいました。
じゃあ、肺の影は何だったんだ???
と思ったら、レントゲンの画像を見せてくださって。
肺にポツポツとまだらに白い影があって、
「てっきり、砲弾転移かと思ったんですけどね。」 と。
心臓もすごく大きいのだけど、ただ、脂肪がついて大きく見えている可能性もあるとのことです。
(もしかして、ちょっと、食わせすぎた!?)
「それで、気管の石灰化がすごいんです。
白くくっきり写っているでしょう。
4歳くらいまでは、普通はきれいなんですが。。。」
要は、レントゲンの画像を見る限り、りんちゃんは高齢だってこと。
「いや、苦労の多い子でしたからねぇ・・・。」
って、そういう問題かって自分で突っ込みたくなりましたが。
先生も4歳でこの状態というのはあまり遭遇しないらしく、
「4歳で心臓の薬ってのもどうかと思いますしねぇ。。。」
と、首をひねっておられました。
りんちゃんの心臓と肺に何が起こっているのかは分からないので、今後、注意して経過観察するよりほかないようです。


ケージの中にヘンなものを敷かれて、超絶不機嫌です(笑)
敷くタイプのヒーター、確か前に はるちゃんのために買ったのがあったよね?
と思ったのですが、どこにしまったのか、なかなか見つけられなくて。
我が家ではすごく不人気なので、すっかりお蔵入りしていました。
不安定なのが不評の原因であろうと、バスマットにくるんでガタついたり滑ったりしないようにして入れてみました。
初めはこんな顔してましたけど、案外良かったらしく、翌朝、起きてみたら、しっかり上に乗ってくつろいでいました ^^
特別扱いしてもらったのが嬉しいのか、ちょっと得意そうでもありました。
術後の立ち上がりを先生はすごく心配してくださったのですが、本兎、ケロッとしたもので。
その後、食欲、元気、全く問題なしです。
ただ、いまだにヒーターの上にいるんですよね。
もう、いいんじゃね?
って、まみ~は思うのだけど。
この子はどれだけ元気そうに見えても、実はとってもしんどい思いをしている、そういう子なのかもしれません。
もしかしたら、息が苦しくても、苦しくないふりをしているのかも。
いつも強がって、何でもないふりをして。
そうやって、あの過酷な環境を生き延びてきたのかな?
そう思うと、とても切なくなりました。
でも、子宮が何ともなくて良かった。
これで、心配の種は一つ減りました。
あの状況なら、普通は手術なんてしてもらえないところでした。
「こんな怖い子、お断り」 と普通なら言われてしまうような子でした。
腕のいい先生に診てもらえて、やっぱり、りんちゃんは強運です。


