兎鳥庵 日記

インコ3羽と ウサギ9羽にヒト1人の日常です                  - ときどき実験ウサギさん里親募集 -

『The 牧草』!! (うさフェスタ2013 講習会)

うさフェスタの講習会シリーズ第2弾は、ちょっと毛色の変わったところで、ウーリー社の小澤邦世社長の語る牧草のお話。
個人的には、これが一番面白かったです ^^


社長さん

元々はウサギのブリーダーをしていたという社長さん。
その過程でウサギの食べるものも自分で作ろうと、長野県に畑を買ったのが始まりだそうです。

現在はアメリカのワシントン州に何人かの指定農家さんがいらして、そこの牧草の中から一番良いものを、スタッフが味見をして確認したうえで、商品として販売されているそうです。
(はじめ、ウサギの試食スタッフがいるのかと思ったら、味見しているのはどうやら人間らしい)



まずは、チモシーの知っているようで知らないお話から。

チモシーには、馬用スーパープレミアム、馬用プレミアム、牛用プレミアム、スタンダード・・・
(その年に取れた一番良いものがスーパープレミアム)
とグレードがありますが、これは毎年変わるものなのだそうな。

たとえば、前年にプレミアムだったものが、翌年、天候不順で良いものが取れなければ、それがスーパープレミアムに格上げされるのだそうです。
つまり、馬用スーパープレミアムと言っても、毎年同じ品質ではないということ。

ウーリーさんでは、馬用とか牛用とかに係わらず、ウサギが一番好んで食べるものをピックアップされているそうです。



イネ科牧草には、多年草と単年草があります。
チモシーは多年草、イタリアンライグラスは単年草。
一度種をまいたら何年かに渡って何度も収穫できるのが多年草、1回収穫したらそれで終わりなのが単年草。

家庭菜園でチモシーの種をまいても、殆どの場合、うまくいかないそうです。
ひょろひょろっと糸みたいなのが生えてきて、それで終わっちゃう。
多年草は根っこが発達していないと、上が伸びてこないんだそうです。

一方の麦などは種が大きいので、根っこがしっかりしていなくても何とかなる。
こういうことなんだそうです。



一番刈りから四番刈りまで

見にくくて申し訳ございませんが、これは1番刈り、2番刈りの収穫から越冬するまでの様子を絵に描いてくださったものです。
草の絵は、左から順に1番から4番まで。
下の曲線は気温の変化。


1番刈り
背丈が高く(繊維質が多い)、穂先も大きい。
越冬している間に根が成長し、土中に蓄えられた養分を吸って大きくなる。

2番刈り
1番刈りを収穫した後に出てくる2番刈りは、背丈も小さく、穂先も短い。
気温の高い時期に成長するが、それは逆に大きくなれないのだという。
気温がピークの頃には、その後寒くなるというイメージが働くのだそう。
土中の栄養分も大半を1番刈りが吸収してしまっているので、低栄養下で成長する。

3番刈り
茎も穂先もすごく短い。
冬が近いので、何でもいいから早く種を作って子孫を残そうとしている状態。

4番
葉っぱがちょろちょろ出てくる程度で、穂先は出ない。
翌年の1番刈りのために、自分が越冬して生き残ろうとしている状態。

これを毎年繰り返します。




チモシーは種まきして翌年の春(5-6月)に収穫します。
それが1番刈り。
でも、最初の年のものは茎が細くて繊維質も少ない。
その代り、柔らくて嗜好性は良い。

またその翌年、初めて収穫するものも1番刈りです。
一口に1番刈りと言っても、収穫年数によって、全然違うということです。
年数を重ねるにつれ茎は太くなり繊維質も増えますが、同時に嗜好性は低下していきます。


チモシーは4-5年に渡って収穫するそうですが、嗜好性が良いのは1年、2年、せいぜい3年目まで。
それ以上になると、茎がガチガチになって嗜好性が落ちます。

牧草を選ぶときには、そこそこの繊維質で嗜好性の良いものを選んでほしいそうです。
ウンコは大きければ大きいほど良いと言われていますが、実際には、ほどほどの大きさのが数がたくさん出る、そういう牧草を選んでほしいそうです。
とはいえ、何年目の1番刈りとかそういう表示をしてくれないと分からないですよね。


あとは、穂先の問題。
穂先が出てくると、嗜好性はそっちに行ってしまって、茎の方はなかなか食べなくなる。

また、穂先が出てしばらくすると花が咲きます(穂先が紫色っぽくなる)。
チモシーは年2回花を咲かせるそうですが、穂先が出てどのタイミングで収穫するかで、嗜好性はガラッと変わって来るそうです。
花が咲いちゃうと、美味しくなくなるんでしょうね。

馬用のスーパープレミアムが繊維質があって一番いいんだって思っても、実際、ウサギには嗜好性があまりよくありません。
美味しい牧草の見分け方は、 穂先が短くて紫色になっていないもの選ぶと良いそうです。
色や香りも嗜好性に直結するそうです。



なるほどと思ったのが、牧草も野菜と同じく標高の高いところで栽培すると美味しくなるという話。
酸素が薄く気温の低い環境下だと、植物の成長は遅くなります。
伸びようとして夜の間に糖分を蓄えるものの、実際にはそんなには伸びない。
そんな訳で、朝一番が最も蓄えている状態で、早朝に刈り取るのが美味しいのだそうです。
(だから商品名が「朝採りナントカ」なのですね)



パッケージの成分表示も見てほしいそうです。
1番刈りと2番刈りでは成分も違うそう。
2番刈りの方がタンパク質や脂肪が多くて嗜好性も高いそうです。



マメ科の植物は高タンパク、高脂肪、高カルシウムということで敬遠されがちですが、アミノ酸などの栄養素はイネ科に比べて良いものがたくさん含まれているので、少しずつ取り入れるといいそうです。
うっ滞のときにたくさんあげてはよろしくないですが、普段から一握りずつアルファルファを混ぜてやるとかするといいそうです。


また、チモシーを食べる子は、バミューダ、オーチャード、イタリアンライグラスなど、他の種類のイネ科牧草にもチャレンジしてほしいそうです。
ペレットもチモシー原料ですから、牧草もチモシーだけだとチモシー過多になってしまうそう。
「牧草=チモシー」というイメージがあるけれど、単に流通のしやすさからチモシーが選ばれているにすぎないのでと。

色々な牧草をあげて、ウサギのバランスを向上させることを考えてほしい。
チモシーを食べない子は、他の牧草を試してみて。
チモシーだけで育てるのではなく、複数のものを組み合わせてほしいそうです。

他の種類の牧草が手に入らない場合は、野菜を少量ずつ取り入れると良いそうです。
生野菜には天然のビタミンやミネラルも豊富です。
残り野菜で良いので、500円玉大の量を何種類かあげることで、栄養バランスが向上します。
「チンゲンサイはカルシウムが多いから」と言う人もいますが、たくさんあげるから問題なのであって、ほんの少し与える分には問題ないそうです。
(補足:野菜に含まれるカルシウムは吸収されにくいという話もありますね)


ウーリーさんは、「ウサギの栄養バランス」を視点に商品開発を行っていらっしゃるそうです。
目安として、チモシーは全体の60%くらいで良く、それ以外はペレットであったり、他の牧草や野菜から摂ることを考えてほしいそうです。



この先は、スライドを使ってのアメリカの農場におけるチモシー収穫風景の紹介です。
興味のある方は、「つづきを表示する」をクリックしてご覧ください。

スライド1

これは、アメリカのワシントン州エレンズバーグの6月頃。

アメリカでは牧草といえば、アルファルファだそうで、チモシーはあまりないんですって。
また、最近は中東や中国からのチモシーの買い付けが盛んで、日本にはなかなかいい牧草がまわってこない、そんな状況もあるそうです。



スライド2

指定農家さん ^^
後ろは刈り取り中のチモシーの畑。



スライド3

幅3-4m分の畑を一気に刈り取っていきます。



スライド4

刈り取り後は山にして、天日乾燥。
天気予報を見ながら刈り取りの日を決めるそうですが、これを間違えるととんでもないことになっちゃうそうな。



スライド5

2、3日すると沈んでくるので、クルクル回るタコ足の機械を使って、風通しを良くする作業をします。



スライド6

フワフワにしているところ。



スライド7

刈り取り後に雨に当たっちゃった畑。

こうなると、農家さんはもうパニックだそう。
下からは2番刈り用の新芽が出てこようとしているので、早くこれを何とかしないと、1番刈りだけでなく、2番刈りもダメになっちゃう。



スライド8

この牧草は、もうグレードがつかないので、輸出してもコストを回収できないのでアメリカ国内で消費されるそうです。



スライド9

乾燥させた牧草を圧縮して、ベールに固める作業。



スライド10

違う方向からのアップ。
中に吸い込んで、圧縮して固めます。



スライド11

指を指している方向に見えるのは青いビニールひも。
これで縛ります。



スライド12

これをまた、別の機械で回収します。
遠くに見える人は、牧草の塊の中の水分量を測って管理しているんだそうです。



スライド13

回収されて積み上げられた牧草。



スライド14

納屋に収納したところ。
高さ約8mだそうです。



スライド15

屋根つきの納屋がない場合には、タートといって、ビニールシートで覆って保管します。
これをする専門業者さんがいらっしゃるそうです。



スライド16

開けたところ。



スライド17

シアトルの港。
写っているのは、中国行の船だそうです。



スライド18

港の全景。



ウーリーさんでは、農家の人が「この畑のが美味しい」と言うのを試食してみて、選ぶんだとか。
港からコンテナに積むときにも、いいものだけをピックアップして、日本に到着して倉庫から工場へ運ぶときにも選別しているそうです。

それをパッケージングするわけなのですが、梅雨時なんかだとしなっとしているとかということもあるので、夏場はまとめ買いせずに、必要な分だけを買うようにした方が良いということです。
買ってからの管理の方にばかり気を回しがちですが、買う前の状態ってのもちょっとは想像した方が良いのでしょうね。


ウサギさんのもとに牧草が届くまでの事が大雑把でも分かったし、こうやって努力してくださっているメーカーさんの苦労も分かって良かったです。
ウーリーさんの牧草がお高い理由も・・・ (^^;;

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コメント


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改めて拝見すると、ガーデニングをやっている方なら納得するでしょうね。家庭菜園でも同じかな? 牧草はあくまでも農産物ですから、年によって地域によって出来が違う。一般の方には、お米と同じと考えていただけば、わかりやすいかも。その年が1等米になるか2等米になるかは、天候もあって農家の方の努力ばかりではどうにもならないところがある。せっかくいいお米を使っても、保存方法や加工法を間違えれば、台無しになる。
ついパッケージの表示だけに頼ると、食べない牧草をつかむこともあるということですね。
そういう点を考えれば、ウーリーさんのような企業姿勢は、ありがたいですね。 お高いですけど~(^^;;

チーママ | URL | 2013年12月09日(Mon)21:11 [EDIT]


お返事

チーママさま
菜園や園芸やっていらっしゃる方なら、当たり前の話?
だったりしますが、うさ飼いとしては、買った牧草の出来不出来で一喜一憂してしまいますね。
書きそびれたのですが、チモシーやイタリアンライグラスなどにもお米と同じく、さまざまな品種があって、ウーリーさんでもいろいろ試していらっしゃるとか。
将来的には品種まで表示できたら面白いんですけどっておっしゃっていました。

ウーリーさん、企業姿勢は素晴らしいものがあるんですが、ホント、もっと大きいウサギのことも考えてくれ~って感じです(笑)

ちゅんちき | URL | 2013年12月11日(Wed)21:01 [EDIT]


今、我が家では3種類のチモシーを与えてますが、チモシー以外も与えた方がいいのか。カロリーのことを考えて、チモシーばっかりにしていたのだけど…
勉強になります〜。

くろべえは食べるのが大好きで、初めてのものでも躊躇しないので、
お試しセットみたいのを買ってみても良いかな。

余談ですが、チモシーと聞いて父がすぐ理解したので
「へ〜?ハイカラだこと」と思ってましたが、農業関係の会社で働いていて、
祖父は農家で馬やら鶏やらを飼っていたので、知ってるのは当然だったのですね。
というか、馬チモシーとは別にうさぎチモシーがあると思い込んでいた自分が駄目ダメ人間でした…ひゃ〜!!

ponsuke | URL | 2013年12月23日(Mon)19:22 [EDIT]


お返事

ponsukeさま
高繊維、低カルシウムということを考えると、やはりチモシーが一番いいのでしょうね。
馬の牧草と一緒に輸入できますし。
色々なものをちょっとずつといっても、小さいウサギさん1匹だと困ってしまいますよね。
先日、試しにオーチャードグラスを買ってみたのですが、みんなバクバク食ってます^^
でも、ふわふわ柔らかいので、やっぱ、こりゃオヤツだな~って感じです。

ちゅんちき | URL | 2013年12月23日(Mon)20:31 [EDIT]