兎鳥庵 日記

インコ3羽と ウサギ9羽にヒト1人の日常です                  - ときどき実験ウサギさん里親募集 -

うさフェスタ 講習会 - よくわかるウサギの目の病気

講師 : 曽我 玲子 先生 (GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)

こちらの講習会は、地方の動物病院の先生もいらしていて、眼の構造や鼻涙管洗浄の方法など、専門的な内容でした。
ウチのウサギ貸しますんで、いっそ実技指導も!
なんてお願いしたいくらいでした(笑)

内容をかみ砕いてというのは自分の手にはあまりますので、レジメのご紹介という事で。
ところどころ、言葉は補ってあります。
専門用語連発なのでとっつきにくいかもしれませんが、分かるところを拾い読みするだけでも相当な情報量ですので、長くなりますが、お付き合いください。
涙が出ている、眼が腫れているといった症状にもさまざまな原因、病気が隠されていることがお分かりいただけるかと思います。


ウサギの眼科疾患 

さまざまな方角で捕食動物を警戒

眼の解剖と生理
● 頭部の側面に大きく突出
● 角膜が眼球の25%
● 360°の広い視野 片眼の視覚範囲は170-190°
  ★ ただし、鼻先は見えない。
    鼻を近づけヒゲで探りながら牧草を食べるため、最後の方になると粉を吸いこんでいる
    これが鼻水、涙の原因に (鼻涙管洗浄を行うと牧草の粉が出てくる)
    粉を落としてから牧草を与えるようにすると、治る
● 水晶体の遠近調節機能は乏しい
● 水晶体が大きく球状
● 毛様体が未発達
● さまざまな方角で捕食動物を警戒できる
● 眼球の直径 : ヒト 24mm、イヌ 17-25mm、ネコ 20-22mm
  ウサギはヒトと同じくらい(体の割合に対して大きい)

● 網膜は水平な線状
● 高密度の光受容体
● 水平領域に集中

視細胞は杆体 ⇒ 夜間にも良好な視界
眼瞼は閉鎖して生まれる
● 分離は生後10日
● 長く厚く可動性
● マイボーム腺が40-50 (多い)
● 眼脂を分泌

● 1時間に10-12回瞬目 (まばたきが少ない)
  ヒト : 子供で5-18回/分、大人の男性で20回/分、女性で15回/分
● 瞬膜は角膜の2/3以上被わない
● 眼瞼の被毛は他の部位より太い
● 鼻毛は豊富な感覚神経と触覚をもつ

眼底検査 散瞳薬
● 40%のウサギはアトロピン分解酵素を持つ
● トロピカミド(0.5%か1%)を使用
● 視神経乳頭は深い生理的陥凹をもつ
● merangiotic と呼ばれている

眼の分泌腺
● 深層の第三眼瞼腺 glandula papebrae tertiae superficialis
● オスの方が多い
● 繁殖期で多い

● 表層の第三眼瞼および眼球の間に位置
● 頬骨腺
● 眼窩の副涙腺の葉を貫通
● 涙腺の分泌物は透明
● 第三眼瞼ハルダー腺 (表在性、深在性の第三眼瞼の腺) の分泌物は乳白色
● 副涙腺
● 眼窩下葉、眼窩葉、後部眼窩葉の3つ

鼻涙管
● 鼻器官の開口部は涙点
● 上眼瞼に涙点は存在しない
● 涙点は涙小管(2mm)に開口
● 涙小管は涙嚢に開口
● 鼻涙管は涙骨孔を通過して涙嚢へ
● 骨性の涙管で覆われて上顎骨へ入る
● 吻側へ進み、途中から内側に向かって上顎第一切歯根まで走行
● 鼻涙管は急な彎曲部を形成し、その直径はおよそ1-2mmに
● 上顎切歯歯根周囲の歯槽骨と鼻軟骨に挟まれて圧縮
● 切歯歯根の伸長すると鼻涙管を閉塞する

歯牙疾患と眼科疾患の関係
● 歯科診察は極めて重要
● 上顎歯、眼球、鼻涙管が解剖学的に接近している
● 歯根の伸長、根尖周囲の炎症は眼の症状
● X線検査
● 歯根の位置、形状、構造および眼球や鼻涙管との関係の評価に必要

鼻涙管閉塞の涙嚢炎の特徴
● 上顎第一切歯の歯根の伸長
● 結膜嚢から涙液の排泄を妨げる
● 下顎骨の腹側辺縁腫脹が触診
● 細菌や有機堆積物を蓄積
● 二次感染  ⇒  結膜炎、結膜感染症、涙嚢炎
● 内眼角より下方の皮膚を指で押す
● 涙嚢から涙点を通って結膜嚢へ化膿性物質が圧出

● 根尖周囲の感染
● 流涙症、結膜炎、涙嚢炎および眼球突出
● 小臼歯の歯根の伸長や歪みまる
● 上顎骨、涙骨を貫通して鼻涙管を閉塞させうる
● 眼窩へ侵入、眼疼痛や眼窩周囲組織の感染
● 球後膿瘍および骨髄炎は根尖周囲の感染


結膜微生物叢
Bacillus subtilis, Staphylococcus aureus, Pseudomonas, Neisseria, Bordetella,
  Moraxella, Pasteurella spp.
● Staphylococcus spp.
が優位 ブドウ球菌
● Micrococcus, Bacillus, Stomatococcus, Neisseria, Corynebacterium, Streptococcus spp.

眼検査
● 左右 眼の大きさと形状
● 眼瞼が広いので診察しやすい
● ウサギがおびえると両側の眼球突出
● 眼窩の血管洞がうっ滞し、眼球が突出してしまう
● 数分後には認められなくなる
● 去勢していないオスの繁殖期の眼は、深層の第三眼瞼が腫れる
● 片側の眼球突出は膿瘍や腫瘍など眼窩の病変
● 眼球が大きくなる 緑内障が原因

● 眼圧測定
● 正常内圧は15-25mmHg
● 眼周囲の湿性の被毛や皮膚炎
● 歯牙疾患が主な原因
● 鋭利な上顎臼歯の棘が伸長
● 頬部の軟部組織に裂傷

眼検査 STT 涙液量
● 点眼麻酔は使用しない
● 正常範囲は 0-11.22mm/分
● 平均値は 5.30+2.96mm/分
● 低値は診断価値がない (Abrams et al., 1990)
● 乾性角結膜炎はウサギでは認められない
● フルオレセインは鼻涙管の開放に伴って外鼻孔より排泄

スリット検査

牛眼 「ムーン・アイ」
● 片側または両側
● New Zealand White Rabitt に多い
● 発症年齢は不定 3-6ヵ月
● 生後2-3週齢の新生仔で認められることも
● 眼球突出
● 角膜潰瘍
● 遺伝的?  ビタミンA欠乏が原因?

過剰な涙液
● 眼瞼炎 結膜炎、角膜炎
● 角膜潰瘍 ⇒ 眼表面の異物

先天的眼瞼疾患
● 眼瞼内反や眼瞼外反
● ネザーランド ドワーフ種に多い
● 鼻の短い種類は涙の排泄露が未発達
● 下眼瞼の流涙の原因となる

結膜過形成
● 前角膜膜性閉鎖
● 病因は不明
● 視覚に影響を及ぼさない
● 外科的切除
● 数週間以内に再増殖する傾向
● シクロスポリンの局所療法が行われている

眼瞼と結膜の疾患 深層の第三眼瞼腺の突出
● 眼球内側の第三眼瞼下方より突出
● 「チェリーアイ」 深層の第三眼瞼腺
● 腺組織が突出
● 分泌嚢を保存するため 整復する (アンカー法で埋め込む)
絶対に切除しない 

結膜炎
● 結膜嚢に多くの常在菌が存在
● 低換気および尿を多く含んだ床敷
● 高蛋白の食餌は窒素排泄物を多くし、アンモニア濃度を上昇させて悪化
● 干し草の粉塵
● 干し草の種や小さな破片が第三眼瞼下の結膜嚢に入り込む
● ロップイヤー種の大きな耳も原因に
● 眼表面を覆うため眼瞼に物理的刺激を与える

治療
● 抗生物質の眼軟膏の局所投与
● 細菌培養
● 結膜炎の根本的原因同定
● 眼瞼内反などの眼瞼異常は外科矯正
● 結膜の異物は除去する
● 換気して新鮮な空気と清潔で乾燥した粉塵のない干し草の敷料を供給する

流涙症
● 涙液量は、結膜炎、角膜炎、角結膜炎、ぶどう膜炎、緑内障などの眼刺激あるいは眼疼痛によって増加
● 顔面の皮膚炎は慢性の流涙症に関連
● 被毛のもつれ、乾いた流涙痂皮  皮下に二次感染

● 上顎切歯の歯根の伸長が原因である流涙症は治療が困難
● 切歯の抜糸も効果がない場合がある
● 良好に換気された、清潔で乾燥し、アンモニアがない環境
● 二次感染の防止には眼軟膏による局所治療 (タリビット眼軟膏が良い)
● 手術前のX腺撮影は切歯歯根の異常を診断


涙嚢炎
● 涙嚢炎の初期  流涙、眼瞼縁が赤い
● 多量で悪臭のある粘液膿性の眼脂
● 内眼角にみられる
● 内眼角の皮膚を圧迫すると、膿瘍涙点から結膜嚢へ排出
● 視診、触診で膿により拡張
● 二次性の結膜炎、角膜炎および角膜混濁
● 疼痛

● 原発性の細菌性涙嚢炎
● パスツレラ症によって発症
● 歯牙疾患および鼻涙管閉塞によるものがほとんど
● 鼻涙管の直径が狭い部位が2ヵ所
● 一つは涙点を通過した鼻涙管の最初の部位
● もう一つは歯根と口蓋骨間で鼻涙管が彎曲する上顎切歯歯根の部位
● 粘性の涙液

● 眼脂が排出されなくなることがある。
  これと同時に上顎臼歯の歯根の病巣が涙腺へ達すると、涙液の産生が減少

ウサギの流涙症と涙嚢炎の治療
● X線検査
● 鼻涙管造影
● 鼻涙管洗浄時の全身麻酔
● カニューレの涙骨孔への挿入
● 化膿性滲出物の洗浄
● 細菌培養

● 非経口のセファレキシン・セファロニウム
● 涙嚢からの化膿性滲出物の絞り出し (1日2-3回)
● つがいで飼育する効果 - グルーミング行動

鼻涙管洗浄
● 鼻涙管洗浄による化膿性物質の除去
● 涙液の排泄を改善
● 感染による堆積物を取り除く
● 原発性の細菌性鼻涙管の感染は治療
● 歯牙疾患による二次感染も改善

● 下眼瞼を丁寧に外反させる
● 内眼角に涙点を見つける
● カニューレは眼瞼を角膜から離して保つ
● 洗浄カニューレは涙点より涙小管、涙嚢へと挿入
● カニューレを涙骨孔まで挿入して上顎部の鼻涙管を洗浄する方法もあるが、麻酔下で
● プラスティックカテーテルを (金属製のものよりも優しい)
● 圧力はやさしく、鼻涙管が閉塞している場合は、涙嚢が破裂する危険性が高い

眼球の疾患 角膜炎、角結膜炎、角膜潰瘍の原因
● 感染、外傷、前角膜涙液層の異常
● 歯牙疾患
● 全身性および栄養性疾患が原因である
● 実験動物では、ビタミンA欠乏による角膜炎が報告されている

角膜炎、角結膜炎、角膜潰瘍
● 涙嚢炎を伴う涙液排泄の障害 ⇒ 角膜炎の原因
● 角膜の内眼角側は涙点より排泄される膿性滲出物でおおわれる
● 他のウサギや干し草による角膜外傷擦過傷は深層性の角膜潰瘍となりやすい
● 角膜潰瘍 ⇒ 深紅色に充血した結膜に囲まれ、不透明な角膜の中央部黄色の
            角膜壊死層、疼痛、眼瞼痙攣、流涙が認められる
● 治療が困難である場合は眼球摘出を考慮
● 多くの場合、内科治療によく反応する

● セファレキシンの全身投与 セファロニウムの局所点眼の併用は、ウサギに有効である
● セキファレキシンは投与後迅速に房水中に出現し、その濃度は結成の5-20%
● フシジン酸の最小阻止濃度は、角膜のグラム陽性菌感染に対して24時間持続する
● 正常眼では吸収されるが炎症眼におけるゲンタマイシンのは乏しい

角膜混濁の鑑別診断
● 角膜ジストロフィーは実験動物のウサギに多い (高脂肪のペレットのみによる飼育)
● 食餌性の角膜脂質症は高脂肪食に関連
● 角膜固有層の脂肪変性
● 眼内手術後の非特異的な変化

ぶどう膜炎
● ウサギのぶどう膜炎は、通常 P. multocida (パスツレラ) の血液感染により発症
● 大きな虹彩膿瘍と汎眼球炎を伴う
● 外傷や異物の穿孔による重度の角膜炎の二次変化として起こる
● 二次性ぶどう膜炎と細菌感染は、 E. cuniculi (エンセファリトゾーン) の
  感染によって発症することもある

エンセファリトゾーン症によるぶどう膜炎
● 斜頸などの神経症状や腎不全を発症することもある
Encephalitozoon (微胞子虫) の感染
● 眼科疾患の原因となる
● 水晶体嚢の破嚢、ぶどう膜炎、白内障が臨床症状であり、これらは若齢のウサギでみられる
● 水晶体前嚢が突発的に破嚢し、肉芽種性の水晶体起因性ぶどう膜炎が発症する
● 通常は片側性
● 組織学的所見として、破嚢した水晶体嚢周囲を中心に炎症がみられる
● 好中球は水晶体皮質の深層まで達し、リンパ球やプラズマ細胞を伴う
  線維芽細胞に取り囲まれる

E. cuniculi の病原体は水晶体皮質の融解部にみられることがある
● ウサギの水晶体嚢が非常に薄い、もしくは欠損している時期に子宮から
  水晶体へ垂直感染すると考えられている
● 水晶体前嚢は最も薄い部分で破嚢
● 水晶体物質が前眼房へ流出することにより水晶体起因性ぶどう膜炎が発生
● 虹彩膿瘍、前眼房膿瘍および急性ぶどう膜炎がみられたら、微胞子虫に感染しており、
  P. multocida が二次的に日和見感染を起こしている可能性がある
● 血清学検査では、 E. cuniculi による暴露の有無が確認できる
● 確定診断は水晶体およびその周囲組織の組織学的診断

● ぶどう膜炎の治療は、重症度に治療反応に依存
E. cuniculi による水晶体起因性ぶどう膜炎の多くは内科治療に反応
● 時間の経過によって改善
● ときには眼球摘出が必要
● 一方、治療を行わなくても沈静化する例もある
● 日常の診察において、片側性の白内障の原因および前眼房中の不透明な
  水晶体組織を検出する

(ペア血清をとっておいて1ヵ月後にもう一度検査して抗体価が上昇していれば、エンセファリトゾーンの疑いが濃い。
エンセファリトゾーンは歳をとって免疫が落ちてきたときに出てくるかもしれない。)

白内障
● 白内障の明らかな原因は不明
● ウサギにおいては糖尿病は白内障の原因とならない
● ウサギは視覚障害および不安を示さないことが多い
● 予防としてアルベンダゾールおよびフェンベンダゾール
● 遺伝性、ニュージーランドホワイトに多い

リンパ腫
● リンパ系組織の腫瘍性疾患はよくみられる
● 比較的、若齢のウサギ
● 眼内では特に脈絡膜、毛様体、虹彩、前眼房に浸潤する
● 両側性のぶどう膜炎
● 眼内の腫瘍組織の集魂を肉眼で確認することができる
● 脾臓、肝臓など他の臓器にも

眼球摘出術
● 難治性の緑内障や眼内炎など視覚がなく疼痛をもつ眼疾患に適応
● 球後疾患や眼球突出はウサギでよくみられるが、眼球摘出術が適応となる場合がある
● 眼内炎は内科治療によく反応するので、眼球摘出は最終手段
● 手術方法は他の動物種と同様
● 眼窩の分泌腺に隣接している大きな静脈洞が存在
● 出血の危険
● ウサギの血液凝固時間は短い



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