
うさフェスタの講習会シリーズ第2弾は、ちょっと毛色の変わったところで、ウーリー社の小澤邦世社長の語る牧草のお話。
個人的には、これが一番面白かったです ^^

元々はウサギのブリーダーをしていたという社長さん。
その過程でウサギの食べるものも自分で作ろうと、長野県に畑を買ったのが始まりだそうです。
現在はアメリカのワシントン州に何人かの指定農家さんがいらして、そこの牧草の中から一番良いものを、スタッフが味見をして確認したうえで、商品として販売されているそうです。
(はじめ、ウサギの試食スタッフがいるのかと思ったら、味見しているのはどうやら人間らしい)
まずは、チモシーの知っているようで知らないお話から。
チモシーには、馬用スーパープレミアム、馬用プレミアム、牛用プレミアム、スタンダード・・・
(その年に取れた一番良いものがスーパープレミアム)
とグレードがありますが、これは毎年変わるものなのだそうな。
たとえば、前年にプレミアムだったものが、翌年、天候不順で良いものが取れなければ、それがスーパープレミアムに格上げされるのだそうです。
つまり、馬用スーパープレミアムと言っても、毎年同じ品質ではないということ。
ウーリーさんでは、馬用とか牛用とかに係わらず、ウサギが一番好んで食べるものをピックアップされているそうです。
イネ科牧草には、多年草と単年草があります。
チモシーは多年草、イタリアンライグラスは単年草。
一度種をまいたら何年かに渡って何度も収穫できるのが多年草、1回収穫したらそれで終わりなのが単年草。
家庭菜園でチモシーの種をまいても、殆どの場合、うまくいかないそうです。
ひょろひょろっと糸みたいなのが生えてきて、それで終わっちゃう。
多年草は根っこが発達していないと、上が伸びてこないんだそうです。
一方の麦などは種が大きいので、根っこがしっかりしていなくても何とかなる。
こういうことなんだそうです。

見にくくて申し訳ございませんが、これは1番刈り、2番刈りの収穫から越冬するまでの様子を絵に描いてくださったものです。
草の絵は、左から順に1番から4番まで。
下の曲線は気温の変化。
1番刈り
背丈が高く(繊維質が多い)、穂先も大きい。
越冬している間に根が成長し、土中に蓄えられた養分を吸って大きくなる。
2番刈り
1番刈りを収穫した後に出てくる2番刈りは、背丈も小さく、穂先も短い。
気温の高い時期に成長するが、それは逆に大きくなれないのだという。
気温がピークの頃には、その後寒くなるというイメージが働くのだそう。
土中の栄養分も大半を1番刈りが吸収してしまっているので、低栄養下で成長する。
3番刈り
茎も穂先もすごく短い。
冬が近いので、何でもいいから早く種を作って子孫を残そうとしている状態。
4番
葉っぱがちょろちょろ出てくる程度で、穂先は出ない。
翌年の1番刈りのために、自分が越冬して生き残ろうとしている状態。
これを毎年繰り返します。
チモシーは種まきして翌年の春(5-6月)に収穫します。
それが1番刈り。
でも、最初の年のものは茎が細くて繊維質も少ない。
その代り、柔らくて嗜好性は良い。
またその翌年、初めて収穫するものも1番刈りです。
一口に1番刈りと言っても、収穫年数によって、全然違うということです。
年数を重ねるにつれ茎は太くなり繊維質も増えますが、同時に嗜好性は低下していきます。
チモシーは4-5年に渡って収穫するそうですが、嗜好性が良いのは1年、2年、せいぜい3年目まで。
それ以上になると、茎がガチガチになって嗜好性が落ちます。
牧草を選ぶときには、そこそこの繊維質で嗜好性の良いものを選んでほしいそうです。
ウンコは大きければ大きいほど良いと言われていますが、実際には、ほどほどの大きさのが数がたくさん出る、そういう牧草を選んでほしいそうです。
とはいえ、何年目の1番刈りとかそういう表示をしてくれないと分からないですよね。
あとは、穂先の問題。
穂先が出てくると、嗜好性はそっちに行ってしまって、茎の方はなかなか食べなくなる。
また、穂先が出てしばらくすると花が咲きます(穂先が紫色っぽくなる)。
チモシーは年2回花を咲かせるそうですが、穂先が出てどのタイミングで収穫するかで、嗜好性はガラッと変わって来るそうです。
花が咲いちゃうと、美味しくなくなるんでしょうね。
馬用のスーパープレミアムが繊維質があって一番いいんだって思っても、実際、ウサギには嗜好性があまりよくありません。
美味しい牧草の見分け方は、 穂先が短くて紫色になっていないもの選ぶと良いそうです。
色や香りも嗜好性に直結するそうです。
なるほどと思ったのが、牧草も野菜と同じく標高の高いところで栽培すると美味しくなるという話。
酸素が薄く気温の低い環境下だと、植物の成長は遅くなります。
伸びようとして夜の間に糖分を蓄えるものの、実際にはそんなには伸びない。
そんな訳で、朝一番が最も蓄えている状態で、早朝に刈り取るのが美味しいのだそうです。
(だから商品名が「朝採りナントカ」なのですね)
パッケージの成分表示も見てほしいそうです。
1番刈りと2番刈りでは成分も違うそう。
2番刈りの方がタンパク質や脂肪が多くて嗜好性も高いそうです。
マメ科の植物は高タンパク、高脂肪、高カルシウムということで敬遠されがちですが、アミノ酸などの栄養素はイネ科に比べて良いものがたくさん含まれているので、少しずつ取り入れるといいそうです。
うっ滞のときにたくさんあげてはよろしくないですが、普段から一握りずつアルファルファを混ぜてやるとかするといいそうです。
また、チモシーを食べる子は、バミューダ、オーチャード、イタリアンライグラスなど、他の種類のイネ科牧草にもチャレンジしてほしいそうです。
ペレットもチモシー原料ですから、牧草もチモシーだけだとチモシー過多になってしまうそう。
「牧草=チモシー」というイメージがあるけれど、単に流通のしやすさからチモシーが選ばれているにすぎないのでと。
色々な牧草をあげて、ウサギのバランスを向上させることを考えてほしい。
チモシーを食べない子は、他の牧草を試してみて。
チモシーだけで育てるのではなく、複数のものを組み合わせてほしいそうです。
他の種類の牧草が手に入らない場合は、野菜を少量ずつ取り入れると良いそうです。
生野菜には天然のビタミンやミネラルも豊富です。
残り野菜で良いので、500円玉大の量を何種類かあげることで、栄養バランスが向上します。
「チンゲンサイはカルシウムが多いから」と言う人もいますが、たくさんあげるから問題なのであって、ほんの少し与える分には問題ないそうです。
(補足:野菜に含まれるカルシウムは吸収されにくいという話もありますね)
ウーリーさんは、「ウサギの栄養バランス」を視点に商品開発を行っていらっしゃるそうです。
目安として、チモシーは全体の60%くらいで良く、それ以外はペレットであったり、他の牧草や野菜から摂ることを考えてほしいそうです。
この先は、スライドを使ってのアメリカの農場におけるチモシー収穫風景の紹介です。
興味のある方は、「つづきを表示する」をクリックしてご覧ください。
個人的には、これが一番面白かったです ^^

元々はウサギのブリーダーをしていたという社長さん。
その過程でウサギの食べるものも自分で作ろうと、長野県に畑を買ったのが始まりだそうです。
現在はアメリカのワシントン州に何人かの指定農家さんがいらして、そこの牧草の中から一番良いものを、スタッフが味見をして確認したうえで、商品として販売されているそうです。
(はじめ、ウサギの試食スタッフがいるのかと思ったら、味見しているのはどうやら人間らしい)
まずは、チモシーの知っているようで知らないお話から。
チモシーには、馬用スーパープレミアム、馬用プレミアム、牛用プレミアム、スタンダード・・・
(その年に取れた一番良いものがスーパープレミアム)
とグレードがありますが、これは毎年変わるものなのだそうな。
たとえば、前年にプレミアムだったものが、翌年、天候不順で良いものが取れなければ、それがスーパープレミアムに格上げされるのだそうです。
つまり、馬用スーパープレミアムと言っても、毎年同じ品質ではないということ。
ウーリーさんでは、馬用とか牛用とかに係わらず、ウサギが一番好んで食べるものをピックアップされているそうです。
イネ科牧草には、多年草と単年草があります。
チモシーは多年草、イタリアンライグラスは単年草。
一度種をまいたら何年かに渡って何度も収穫できるのが多年草、1回収穫したらそれで終わりなのが単年草。
家庭菜園でチモシーの種をまいても、殆どの場合、うまくいかないそうです。
ひょろひょろっと糸みたいなのが生えてきて、それで終わっちゃう。
多年草は根っこが発達していないと、上が伸びてこないんだそうです。
一方の麦などは種が大きいので、根っこがしっかりしていなくても何とかなる。
こういうことなんだそうです。

見にくくて申し訳ございませんが、これは1番刈り、2番刈りの収穫から越冬するまでの様子を絵に描いてくださったものです。
草の絵は、左から順に1番から4番まで。
下の曲線は気温の変化。
1番刈り
背丈が高く(繊維質が多い)、穂先も大きい。
越冬している間に根が成長し、土中に蓄えられた養分を吸って大きくなる。
2番刈り
1番刈りを収穫した後に出てくる2番刈りは、背丈も小さく、穂先も短い。
気温の高い時期に成長するが、それは逆に大きくなれないのだという。
気温がピークの頃には、その後寒くなるというイメージが働くのだそう。
土中の栄養分も大半を1番刈りが吸収してしまっているので、低栄養下で成長する。
3番刈り
茎も穂先もすごく短い。
冬が近いので、何でもいいから早く種を作って子孫を残そうとしている状態。
4番
葉っぱがちょろちょろ出てくる程度で、穂先は出ない。
翌年の1番刈りのために、自分が越冬して生き残ろうとしている状態。
これを毎年繰り返します。
チモシーは種まきして翌年の春(5-6月)に収穫します。
それが1番刈り。
でも、最初の年のものは茎が細くて繊維質も少ない。
その代り、柔らくて嗜好性は良い。
またその翌年、初めて収穫するものも1番刈りです。
一口に1番刈りと言っても、収穫年数によって、全然違うということです。
年数を重ねるにつれ茎は太くなり繊維質も増えますが、同時に嗜好性は低下していきます。
チモシーは4-5年に渡って収穫するそうですが、嗜好性が良いのは1年、2年、せいぜい3年目まで。
それ以上になると、茎がガチガチになって嗜好性が落ちます。
牧草を選ぶときには、そこそこの繊維質で嗜好性の良いものを選んでほしいそうです。
ウンコは大きければ大きいほど良いと言われていますが、実際には、ほどほどの大きさのが数がたくさん出る、そういう牧草を選んでほしいそうです。
とはいえ、何年目の1番刈りとかそういう表示をしてくれないと分からないですよね。
あとは、穂先の問題。
穂先が出てくると、嗜好性はそっちに行ってしまって、茎の方はなかなか食べなくなる。
また、穂先が出てしばらくすると花が咲きます(穂先が紫色っぽくなる)。
チモシーは年2回花を咲かせるそうですが、穂先が出てどのタイミングで収穫するかで、嗜好性はガラッと変わって来るそうです。
花が咲いちゃうと、美味しくなくなるんでしょうね。
馬用のスーパープレミアムが繊維質があって一番いいんだって思っても、実際、ウサギには嗜好性があまりよくありません。
美味しい牧草の見分け方は、 穂先が短くて紫色になっていないもの選ぶと良いそうです。
色や香りも嗜好性に直結するそうです。
なるほどと思ったのが、牧草も野菜と同じく標高の高いところで栽培すると美味しくなるという話。
酸素が薄く気温の低い環境下だと、植物の成長は遅くなります。
伸びようとして夜の間に糖分を蓄えるものの、実際にはそんなには伸びない。
そんな訳で、朝一番が最も蓄えている状態で、早朝に刈り取るのが美味しいのだそうです。
(だから商品名が「朝採りナントカ」なのですね)
パッケージの成分表示も見てほしいそうです。
1番刈りと2番刈りでは成分も違うそう。
2番刈りの方がタンパク質や脂肪が多くて嗜好性も高いそうです。
マメ科の植物は高タンパク、高脂肪、高カルシウムということで敬遠されがちですが、アミノ酸などの栄養素はイネ科に比べて良いものがたくさん含まれているので、少しずつ取り入れるといいそうです。
うっ滞のときにたくさんあげてはよろしくないですが、普段から一握りずつアルファルファを混ぜてやるとかするといいそうです。
また、チモシーを食べる子は、バミューダ、オーチャード、イタリアンライグラスなど、他の種類のイネ科牧草にもチャレンジしてほしいそうです。
ペレットもチモシー原料ですから、牧草もチモシーだけだとチモシー過多になってしまうそう。
「牧草=チモシー」というイメージがあるけれど、単に流通のしやすさからチモシーが選ばれているにすぎないのでと。
色々な牧草をあげて、ウサギのバランスを向上させることを考えてほしい。
チモシーを食べない子は、他の牧草を試してみて。
チモシーだけで育てるのではなく、複数のものを組み合わせてほしいそうです。
他の種類の牧草が手に入らない場合は、野菜を少量ずつ取り入れると良いそうです。
生野菜には天然のビタミンやミネラルも豊富です。
残り野菜で良いので、500円玉大の量を何種類かあげることで、栄養バランスが向上します。
「チンゲンサイはカルシウムが多いから」と言う人もいますが、たくさんあげるから問題なのであって、ほんの少し与える分には問題ないそうです。
(補足:野菜に含まれるカルシウムは吸収されにくいという話もありますね)
ウーリーさんは、「ウサギの栄養バランス」を視点に商品開発を行っていらっしゃるそうです。
目安として、チモシーは全体の60%くらいで良く、それ以外はペレットであったり、他の牧草や野菜から摂ることを考えてほしいそうです。
この先は、スライドを使ってのアメリカの農場におけるチモシー収穫風景の紹介です。
興味のある方は、「つづきを表示する」をクリックしてご覧ください。


