
うさフェスタで受講した講習会は次の5つ。
「ウサギの応急手当」 曽我 玲子 先生(GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「よくわかるウサギの目の病気」 曽我 玲子 先生 (GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「現代ウサギ事情諸々」 田向 健一 先生 (田園調布動物病院)
「ウサギの健康と食事」 林 典子 先生 (ハロー動物病院)
「病気予防の観点からみた飼育法」 成毛 淳人 先生 (シンシア動物病院)
各講習会で内容が重複するところも多々ありましたが(それはそれで先生方のお考えの違いなども分かって面白かった)、順番に内容をかいつまんでご紹介したいと思います。
(田向先生のは、ほぼ雑談に終始していたので割愛します)
ウサギの応急手当 ― いざというとき、あわてないために ―
1階の講習会エリアで開かれた、この講習会は初心者向け(?)の実践的内容でした。
レジメとお話の内容が混在していますので、読みにくい点もあるかと思いますが、言葉足らずな箇所はご指摘いただけると助かります。
ウサギは、victim (被捕食者)である
● 病気のサインを隠しきれなくなるまで隠す。
● 病気だと認識した時はすでに深刻な状態。
● 様子を見ないこと。
● ウサギの健康状態はすぐに悪化する。
● 食欲のないウサギはすぐに手当が必要。
ということについては、ウサ飼いさんなら言わずもがなな事でありますが、まず心しておかねばならないことですね。
まずは、曽我先生お勧めの救急箱の中身、その他用品のご紹介です。
● 注射器 : 点眼・投薬・傷口洗浄・強制給餌用
各種サイズを準備しておくと良さそうです。
強制給餌には30mL容量の、先の長いシリンジがお勧めだそうです。
● OXBOW クリティカルケア (強制給餌用フード)
● 抗生剤軟膏 (獣医師に相談)
● 温め用パッド・温水容器 (ホカロン、ゆたぽん、湯たんぽ)
レンジでチンして使う、ゆたぽんはお勧め。
● 赤ちゃん用デジタル体温計
少し高いが、動物用電子体温計 アステック サーモフレックス がお勧め。
入れたときに先っぽが動くので、初心者でも腸を傷つける心配がない。
● 耳鏡 (臼歯チェックに使用)
安い(と言っても医療用に比べて)ものがインターネットで購入できるそうです。
● 消毒液 (イソジン)
● 洗浄液 (蒸留水、生理食塩液)
● ベネバック (腸内環境を整えるプロバイオティクス)
● 綿棒、脱脂綿、ガーゼ (傷口の消毒、耳の掃除)
● 絆創膏
● 止血用パウダー (クイックストップ、片栗粉、小麦粉)
爪切り後の出血の処置。 皮膚には使用しないこと。
クイックストップは少量あればいいので、動物病院で小分けしてもらえればいいが、
購入すれば一生モノ (笑)
片栗粉、小麦粉でも代用できますが、ちゅんちきの経験上、深爪したり折れたりして
大量に出血している場合には無理です。
● ハサミ、毛抜き、爪切り(犬猫用でOK)
● ネット包帯
● コーンシロップ (ハチミツではダメ)
● 動物病院で処方された常備薬
● 体重計
タニタ デジタルベビースケール BD-585 がお勧め
(最大計量 20kg、最小表示 ~10kg : 10g / ~20kg : 20g 、ホールド機能、風袋引き機能、四点式秤)
実際に曽我先生がお持ちになっていた救急箱の写真を撮ってくれば良かったのに、ゴメンナサイ、忘れました
結構ね、シリンジとか医療用の器具は一般には市販されていない場合が多いので、できれば、動物病院でセット販売とか、ばら売りとかしていただけるとありがたいですね。
クリティカルケアも動物病院じゃないと入手できません。
コーンシロップもインターネットでしか入手できないそうです。
曽我先生は、「ウサギのしっぽさんで扱ってほしい」 とおっしゃっていましたが。
お家でできる救急処置はあり、救急箱の用意は必要ですが、
● 応急手当は動物病院での治療に代わるものではない
● 自己判断に基づく診断は禁物。 獣医師の助言を。
という事は肝に銘じておく必要があります。
救急処置は、 「FIRE」 (ファイヤー) と覚えるそうです。
● F (Fluid)
液体 (水 + 塩分) の経口摂取
意識があれば、電解質入りの液体などを。
意識が混濁している場合には、病院で点滴する必要があります。
● I (Ice) 体温測定
熱中症のとき : 身体の冷却 氷水スプレー
体温低下のとき : 温めたタオルを当てる
耳に大きな血管があるので、そこを温めるのも効果的。
● R (Rest)
静かなところで休ませる。 ストレスの軽減。
● E (Emergency)
緊急事態の認識。 少しの変が重要。
少しの変でも動物病院に。 迷ったときは、連れて行くとき。
気楽に相談できる病院、実際に大したことなくても笑って済ませられるような関係の病院を確保しておくこと。
くれぐれも、そのときになって、あわてて病院を探さないようにとのことです。
休診日、時間外にも対応してもらえる病院の確保。
救急病院など緊急時の病院の連絡先は、救急箱のふたに貼っておくこと。
いつもと違うに気づいてあげる
● 耳 : 耳を振る。 後足で掻く。 耳の中の臭いや汚れ。
● 鼻 : くしゃみ、鼻の周りの汚れ、鼻水、鼻が詰まる
● 口 : 前歯の異常、口をクチャクチャさせる、食べにくそうにしている、
よだれや悪臭
● お腹 : お腹が張る、ゴロゴロ鳴る
● 目 : 目やに、涙、目をしょぼつかせる、目をつむったり、目が白く濁る
● 皮膚 : ツヤ、パサつく、抜け毛、脱毛、フケ、かゆみ、かたまり
● お尻 : 汚れと臭い
● 足 : 足底皮膚炎、動かない
応急手当のお話の内容
● 食欲不振 : 胃腸うっ滞、毛球症の予兆。 軟便、下痢。
● 熱中症、低体温症の際の応急処置について。
● 斜頸になってしまった際、病院に行くまでにできる事。
● けいれん : てんかん
● オシッコが出ない、水分をとらない / 増える : 腎不全、尿路結石
● 高い場所からの落下 骨折、脱臼、爪折れ(止血剤がない場合)
● わんちゃん、ネコちゃんに噛まれてしまった場合。
1. 食欲不振、うっ滞、軟便・下痢
病気のサイン
食べない : 食べにくそう、こぼす、よだれが出る
(何故食べないのか、この見極めは大事ですね)
食べないのか、食べにくいのか、片側で食べているなど
前足の先の毛がもつれている場合は、ほぼ歯の病気
糞が : 大小不同、繋がっている、小さくなった、出ない
下痢
真性の下痢は大人のウサギではまれ。
幼いウサギ : 腸内寄生虫(コクシジウム、回虫、条虫)、腸内細菌叢の問題
子ウサギにおける下痢は突然死を伴う致命的な緊急事態、抗体、適切なpH環境。
親元で3ヵ月過ごしたウサギは丈夫に育つので、そのような子を選ぶと良い。
子ウサギでは、実際に持っていても検便では検出されないケースが多い。
予防としては、ブラッシング、高繊維の固形飼料(パパイヤのひももお勧め)、運動(遊ぶ時間を多く、カロリー消費、減量)など。
食欲のあるとき、普段から、強制給餌の流動食にも使われる 「OXBOW のクリティカルケア」 でお団子を作り、食べさせておくことも効果があります。
味に慣れておくことで、強制給餌を受け入れやすいこと、フリーズドライのウサギの腸内細菌叢が入っているので、普段からお腹の調子を整えておくことができるというものです。
流動食については他のメーカーからも出ていますが、曽我先生的には「これに勝るものはない」のだそうです。
高繊維であること、細菌叢が入っていることが決め手のようです。
強制給餌は、先が長めのシリンジを口の奥まで入れて。
舌の上の乗せてやるような感じでやると良いそうです。
シリンジそのままだとすぐに詰まるので、ちゅんちきは先をカットして穴を大きくしたシリンジ(2.5mL容)を使いますが、曽我先生の方法がうまくできれば、効率よくできそうです。
強制給餌(水分量)の目安 : 120mL/kg/day
2. 熱中症、低体温症
熱中症のとき
● 熱源から遠ざけ、日陰や屋内に運ぶ。
● 必要に応じてショック状態の確認と手当。
冷水で濡らしたタオルで包む。
体温 43℃で血液が凝固し、死ぬ。
その場合は、病院に行くまでもたないので、その場ですぐ冷やす処置を。
氷嚢や氷を入れたゴム手袋をウサギの両側に置く。
氷水スプレーや保冷剤などで耳や首(頸動脈)を冷やすと効率的。
(きちさんでは、耳の付け根の下辺りを保冷剤で冷やしてやるのが良いと教わりました)
熱中症にさせないための注意事項
● 直射日光は温度には関係がない。
● 環境温度 26℃以上は危険。
● ウサギのそばに凍らせたペットボトルを。
● タイルの板 横になったときに熱を吸収。
● 飲み水を欠かさないこと。
● 日の高さが変わっても、1日中日陰で過ごせるよう、ケージの場所に注意。
通院時の車の移動の際には、エアコンを効かせていても熱中症になる場合があるので、必ず凍らせたペットボトルを横に置いて運ぶようにとのことです。
確かに、ちゅんちきも、ライオンズの健診のとき、ヤバかったことがあります。
曽我先生の病院は近くに大型ショッピングセンターがあり、通院帰りにお買い物に行く方もいて、屋内駐車場だから大丈夫と思い窓を閉めた車内にウサギさんを残したまま出かけ、助からなかったケースもあるとのことです。
夏場は少しの間でも、屋内でも、車内放置はNGですね。
低体温のとき
(開いた瞳孔、震え、意識不明、めまい、麻痺)
● 直ちに寒い場所から移す。
● 呼吸と脈をとる。
体温36℃で危険。 耳の血管が触診できない場合は、ショック状態。
● 毛布でウサギをくるみ、温水を入れたペットボトルなどを胸と側と耳に置く。
● ウサギが意識を取り戻したら、コーンシロップをスプーン1杯。
普段から死んだような(硬直したような)姿勢で寝る癖のある子は要注意! とのこと。
先生の息子さんのところの体験談だそうですが、
「どう見ても死んだような状態で、はたいても何しても起きない!」
とSOSが来て、飛行機で取り急ぎ来院したそうです。
実際にはさほど重体でもなく、ほどなく回復したそうですが、元々、そんな恰好で寝る癖のある子だったという笑い話でした。
死んだと思って氷詰めの箱に入れる前に、必ず耳と呼吸を確認する、これ大事(笑)
3. 眼振と斜頸
ローリングなどの激しい症状は殆どがパスツレラによるもの。
クルクルと船酔い状態になる。
「3の法則」 というのがあって、症状が出てから病院に来るまでの時間が
● 3時間前なら、3日で治る。
● 3日前なら、3週間で治る。
● 3週間前なら、3ヵ月で治る。
● 3ヵ月前なら、もう治らないかもしれない。
だそうです。
実際、きちんとした診断がつかなくてあちこちの病院を転々としているうちに日がたってしまって・・・
というケースは多いそうで、こういったウサギ特有の症状が出たときに頼れる病院の見当を予めつけておくことは大切だと思いました。
回転の前には眼振があるはずなので、その段階で気付いて来院できればベストだそうです。
病院に連れて行くときには、キャリーの中にタオルをウサギの両側に詰め詰めして動けない状態にして運びます。
このときも、コーンシロップを飲ませてやると良いそうです。
なだめるように話しかけ、落ち着かせることも大事です。
ウサギさんは何かのとき、包み込んで安心させてあげると良いそうです。
ステロイドを使って慎重な治療が必要ですが、1回目の発作は治るそうです。
4. てんかん
● てんかんは発作の原因となる脳の電気障害を引き起こす。
● 発作は、てんかん性の症状である。
● 人間、犬、猫、ウサギに起こることが知られている。
● 様々な理由から生じる。
● 治療不能な脳の傷が原因だと再発する可能性が高い。
てんかん・発作
● 脳の機能に異常。
● 深刻な症状の前兆である。
● 医学的原因を特定し、適切な治療に役立つ
● 低血糖。
● 殺虫剤。
● 微胞子虫
エンセファリトゾーンなどで脳にダメージがある場合には治らない。
通常のてんかんなら3分以内に発作は治まる。
低血糖による発作なら、コーンシロップでOK。
実際に合った話で、てんかん発作を起こし、キューっと鳴いてひっくり返った(そのときすでに死亡モードに入っていた)ウサギさんを、飼い主さんがとっさに無我夢中で首を持ってパンパン振ったところ、蘇生したという話を紹介してくださいました。
飼い主さんの機転がウサギを救った、最後まで諦めてはいけない、というお話でしたが、まあ、振ってダメになっちゃう場合もあるんじゃないかとか・・・そんなことも思ったりして、難しいですね。
機転もさることながら、やはり時の運の方が大きいんじゃないだろうか。。。
5. 腎不全
● 急性の腎不全と慢性の腎不全がある
● 急性の腎不全 :血液感染、心不全、ショック、ストレスなどにより引き起こされる。
● 老化 糖尿病 尿路感染
● 尿石、尿閉塞が原因
元気がない、食欲がない
● 貧血体に酸素を運ぶ赤血球が減るため、疲れやすい
● 慢性腎疾患 : 尿が増える 脱水
● 尿毒素が血液中に堆積
● ウサギは吐けない
● 体重が減る
ネザーランドドワーフには腎不全が多い。
バランスウォーターも良いが、含まれている糖が腸内発酵を起こすので、継続して使う場合には、ウサギさんが許容してくれる範囲で薄めて用いると良い。
ウサギの飲水量は 100mL/kg
急性の腎不全は変な草を食べたとか、そんな事でも起こる。
メスは尿道が広いので、結石が大きくなりやすい。
6. 怪我
出血
● 固まった血が剥がれると止血できないので、ガーゼは取り外さない。
● 頭部の傷 止血のために首を押したり、圧力をかけてはいけない。
● 止血できないとき(外科縫合が必要)、皮膚内に異物が入り込んでいるときは、
直ちに病院に運ぶ。
出血 (咬み傷、喧嘩、怪我)
● 無菌ガーゼか清潔な布巾などで傷を覆う。
● ぐったりしていなければ、タオルで包んで生理食塩液等で傷を洗う。
● ガーゼに血がしみこんでくる場合には押さえる。
● 傷の上の方を押さえ、圧力をかける。
● 出血が止まらない場合には、傷口付近を包帯。
● 血液の流れは止められないので、ハンカチなどできつく縛りすぎない。
骨折 (びっこ・腫れ・痛み・内出血・骨の突起)
● ウサギを落ち着かせる。
● 骨が突起してしまっている場合は、骨が動いたり触ったりしないよう、
緩めに包帯し、へらやテープで止める。
● 折れた手、足は引っ張らないこと。
● 直ちに病院連れて行く。
熱傷、炎症
● 水を5分から10分流しながら洗う。
● カラーをつけるか毛布でくるむなどして、患部を掻かないようにする。
7. その他
目の異物
● 生理食塩液か水道水で洗い流す (フラッシュ瓶を使うと良い)
● 柔らかい布で目の周りの涙、目やに、残った異物のかけらを拭いとる。
● 指を目の中に入れない。
● 目に損傷があるとき、異物が取れないときには直ちに病院へ。
子宮がん
● 2歳でがん年齢。 3歳で子宮がんが多い。
● 避妊手術でその心配はなくなる。
● 子宮がんは触診で分かるので、手術がイヤな場合は定期健診を。
よりよく長生きさせるために
● 日常的、ルーチンな血液検査
● まずは、お誕生日健診、1歳のときに。
● 基礎的な正常値をとっておく。
● 4歳までは毎年
● 血液化学、完全血球測定(CBC)と尿検査
● 6歳になったら、年2回の健康診断
以上、とりとめもなく書き連ねましたが、参考になれば幸いです。
この内容で、無料立ち見OKの講習会でした。
曽我先生の講習会はお得ですよ(笑)
講習会の後、先生に質問する機会がありましたので、ハクたんのことをちょこっとお聞きしてみました。
毎年、夏になるとお腹の調子があやしくなって体調不良に陥るハクたん。
去年はコクシジウムが出ましたし(大人のくせに)、今年のは随分と長引きました。
血液検査も異常なし。
子ウサギのときには、十分におっぱいを飲めず、1ヵ月で母ウサギと引き離されました。
命にかかわる下痢をしたことも何度か。
「その頃に来客やイベントなどストレスになるものがあるのでは?」
と聞かれましたが、夏はまったくと言っていいほどイベントなし。
仕事で遅くなるとかもない。
「それならば、お母さんから腸内細菌叢をもらい損ねたのでしょうから、定期的にクリティカルケアで植え付けて行くと良いです。
そういう子はそれで良くなることが多いですよ。」 とのこと。
良いことを聞きました ^^
ハクたん、来年はその手で行こう。
クリティカルケアは常備していますから、忘れないように (実はこれが難しかったり・笑) 作ってあげましょう。
でもね、クリティカルケアってお高いんですよね。
ハクたん、ほどほどにお願いしますね。
「ウサギの応急手当」 曽我 玲子 先生(GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「よくわかるウサギの目の病気」 曽我 玲子 先生 (GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「現代ウサギ事情諸々」 田向 健一 先生 (田園調布動物病院)
「ウサギの健康と食事」 林 典子 先生 (ハロー動物病院)
「病気予防の観点からみた飼育法」 成毛 淳人 先生 (シンシア動物病院)
各講習会で内容が重複するところも多々ありましたが(それはそれで先生方のお考えの違いなども分かって面白かった)、順番に内容をかいつまんでご紹介したいと思います。
(田向先生のは、ほぼ雑談に終始していたので割愛します)
ウサギの応急手当 ― いざというとき、あわてないために ―
1階の講習会エリアで開かれた、この講習会は初心者向け(?)の実践的内容でした。
レジメとお話の内容が混在していますので、読みにくい点もあるかと思いますが、言葉足らずな箇所はご指摘いただけると助かります。
ウサギは、victim (被捕食者)である
● 病気のサインを隠しきれなくなるまで隠す。
● 病気だと認識した時はすでに深刻な状態。
● 様子を見ないこと。
● ウサギの健康状態はすぐに悪化する。
● 食欲のないウサギはすぐに手当が必要。
ということについては、ウサ飼いさんなら言わずもがなな事でありますが、まず心しておかねばならないことですね。
まずは、曽我先生お勧めの救急箱の中身、その他用品のご紹介です。
● 注射器 : 点眼・投薬・傷口洗浄・強制給餌用
各種サイズを準備しておくと良さそうです。
強制給餌には30mL容量の、先の長いシリンジがお勧めだそうです。
● OXBOW クリティカルケア (強制給餌用フード)
● 抗生剤軟膏 (獣医師に相談)
● 温め用パッド・温水容器 (ホカロン、ゆたぽん、湯たんぽ)
レンジでチンして使う、ゆたぽんはお勧め。
● 赤ちゃん用デジタル体温計
少し高いが、動物用電子体温計 アステック サーモフレックス がお勧め。
入れたときに先っぽが動くので、初心者でも腸を傷つける心配がない。
● 耳鏡 (臼歯チェックに使用)
安い(と言っても医療用に比べて)ものがインターネットで購入できるそうです。
● 消毒液 (イソジン)
● 洗浄液 (蒸留水、生理食塩液)
● ベネバック (腸内環境を整えるプロバイオティクス)
● 綿棒、脱脂綿、ガーゼ (傷口の消毒、耳の掃除)
● 絆創膏
● 止血用パウダー (クイックストップ、片栗粉、小麦粉)
爪切り後の出血の処置。 皮膚には使用しないこと。
クイックストップは少量あればいいので、動物病院で小分けしてもらえればいいが、
購入すれば一生モノ (笑)
片栗粉、小麦粉でも代用できますが、ちゅんちきの経験上、深爪したり折れたりして
大量に出血している場合には無理です。
● ハサミ、毛抜き、爪切り(犬猫用でOK)
● ネット包帯
● コーンシロップ (ハチミツではダメ)
● 動物病院で処方された常備薬
● 体重計
タニタ デジタルベビースケール BD-585 がお勧め
(最大計量 20kg、最小表示 ~10kg : 10g / ~20kg : 20g 、ホールド機能、風袋引き機能、四点式秤)
実際に曽我先生がお持ちになっていた救急箱の写真を撮ってくれば良かったのに、ゴメンナサイ、忘れました

結構ね、シリンジとか医療用の器具は一般には市販されていない場合が多いので、できれば、動物病院でセット販売とか、ばら売りとかしていただけるとありがたいですね。
クリティカルケアも動物病院じゃないと入手できません。
コーンシロップもインターネットでしか入手できないそうです。
曽我先生は、「ウサギのしっぽさんで扱ってほしい」 とおっしゃっていましたが。
お家でできる救急処置はあり、救急箱の用意は必要ですが、
● 応急手当は動物病院での治療に代わるものではない
● 自己判断に基づく診断は禁物。 獣医師の助言を。
という事は肝に銘じておく必要があります。
救急処置は、 「FIRE」 (ファイヤー) と覚えるそうです。
● F (Fluid)
液体 (水 + 塩分) の経口摂取
意識があれば、電解質入りの液体などを。
意識が混濁している場合には、病院で点滴する必要があります。
● I (Ice) 体温測定
熱中症のとき : 身体の冷却 氷水スプレー
体温低下のとき : 温めたタオルを当てる
耳に大きな血管があるので、そこを温めるのも効果的。
● R (Rest)
静かなところで休ませる。 ストレスの軽減。
● E (Emergency)
緊急事態の認識。 少しの変が重要。
少しの変でも動物病院に。 迷ったときは、連れて行くとき。
気楽に相談できる病院、実際に大したことなくても笑って済ませられるような関係の病院を確保しておくこと。
くれぐれも、そのときになって、あわてて病院を探さないようにとのことです。
休診日、時間外にも対応してもらえる病院の確保。
救急病院など緊急時の病院の連絡先は、救急箱のふたに貼っておくこと。
いつもと違うに気づいてあげる
● 耳 : 耳を振る。 後足で掻く。 耳の中の臭いや汚れ。
● 鼻 : くしゃみ、鼻の周りの汚れ、鼻水、鼻が詰まる
● 口 : 前歯の異常、口をクチャクチャさせる、食べにくそうにしている、
よだれや悪臭
● お腹 : お腹が張る、ゴロゴロ鳴る
● 目 : 目やに、涙、目をしょぼつかせる、目をつむったり、目が白く濁る
● 皮膚 : ツヤ、パサつく、抜け毛、脱毛、フケ、かゆみ、かたまり
● お尻 : 汚れと臭い
● 足 : 足底皮膚炎、動かない
応急手当のお話の内容
● 食欲不振 : 胃腸うっ滞、毛球症の予兆。 軟便、下痢。
● 熱中症、低体温症の際の応急処置について。
● 斜頸になってしまった際、病院に行くまでにできる事。
● けいれん : てんかん
● オシッコが出ない、水分をとらない / 増える : 腎不全、尿路結石
● 高い場所からの落下 骨折、脱臼、爪折れ(止血剤がない場合)
● わんちゃん、ネコちゃんに噛まれてしまった場合。
1. 食欲不振、うっ滞、軟便・下痢
病気のサイン
食べない : 食べにくそう、こぼす、よだれが出る
(何故食べないのか、この見極めは大事ですね)
食べないのか、食べにくいのか、片側で食べているなど
前足の先の毛がもつれている場合は、ほぼ歯の病気
糞が : 大小不同、繋がっている、小さくなった、出ない
下痢
真性の下痢は大人のウサギではまれ。
幼いウサギ : 腸内寄生虫(コクシジウム、回虫、条虫)、腸内細菌叢の問題
子ウサギにおける下痢は突然死を伴う致命的な緊急事態、抗体、適切なpH環境。
親元で3ヵ月過ごしたウサギは丈夫に育つので、そのような子を選ぶと良い。
子ウサギでは、実際に持っていても検便では検出されないケースが多い。
予防としては、ブラッシング、高繊維の固形飼料(パパイヤのひももお勧め)、運動(遊ぶ時間を多く、カロリー消費、減量)など。
食欲のあるとき、普段から、強制給餌の流動食にも使われる 「OXBOW のクリティカルケア」 でお団子を作り、食べさせておくことも効果があります。
味に慣れておくことで、強制給餌を受け入れやすいこと、フリーズドライのウサギの腸内細菌叢が入っているので、普段からお腹の調子を整えておくことができるというものです。
流動食については他のメーカーからも出ていますが、曽我先生的には「これに勝るものはない」のだそうです。
高繊維であること、細菌叢が入っていることが決め手のようです。
強制給餌は、先が長めのシリンジを口の奥まで入れて。
舌の上の乗せてやるような感じでやると良いそうです。
シリンジそのままだとすぐに詰まるので、ちゅんちきは先をカットして穴を大きくしたシリンジ(2.5mL容)を使いますが、曽我先生の方法がうまくできれば、効率よくできそうです。
強制給餌(水分量)の目安 : 120mL/kg/day
2. 熱中症、低体温症
熱中症のとき
● 熱源から遠ざけ、日陰や屋内に運ぶ。
● 必要に応じてショック状態の確認と手当。
冷水で濡らしたタオルで包む。
体温 43℃で血液が凝固し、死ぬ。
その場合は、病院に行くまでもたないので、その場ですぐ冷やす処置を。
氷嚢や氷を入れたゴム手袋をウサギの両側に置く。
氷水スプレーや保冷剤などで耳や首(頸動脈)を冷やすと効率的。
(きちさんでは、耳の付け根の下辺りを保冷剤で冷やしてやるのが良いと教わりました)
熱中症にさせないための注意事項
● 直射日光は温度には関係がない。
● 環境温度 26℃以上は危険。
● ウサギのそばに凍らせたペットボトルを。
● タイルの板 横になったときに熱を吸収。
● 飲み水を欠かさないこと。
● 日の高さが変わっても、1日中日陰で過ごせるよう、ケージの場所に注意。
通院時の車の移動の際には、エアコンを効かせていても熱中症になる場合があるので、必ず凍らせたペットボトルを横に置いて運ぶようにとのことです。
確かに、ちゅんちきも、ライオンズの健診のとき、ヤバかったことがあります。
曽我先生の病院は近くに大型ショッピングセンターがあり、通院帰りにお買い物に行く方もいて、屋内駐車場だから大丈夫と思い窓を閉めた車内にウサギさんを残したまま出かけ、助からなかったケースもあるとのことです。
夏場は少しの間でも、屋内でも、車内放置はNGですね。
低体温のとき
(開いた瞳孔、震え、意識不明、めまい、麻痺)
● 直ちに寒い場所から移す。
● 呼吸と脈をとる。
体温36℃で危険。 耳の血管が触診できない場合は、ショック状態。
● 毛布でウサギをくるみ、温水を入れたペットボトルなどを胸と側と耳に置く。
● ウサギが意識を取り戻したら、コーンシロップをスプーン1杯。
普段から死んだような(硬直したような)姿勢で寝る癖のある子は要注意! とのこと。
先生の息子さんのところの体験談だそうですが、
「どう見ても死んだような状態で、はたいても何しても起きない!」
とSOSが来て、飛行機で取り急ぎ来院したそうです。
実際にはさほど重体でもなく、ほどなく回復したそうですが、元々、そんな恰好で寝る癖のある子だったという笑い話でした。
死んだと思って氷詰めの箱に入れる前に、必ず耳と呼吸を確認する、これ大事(笑)
3. 眼振と斜頸
ローリングなどの激しい症状は殆どがパスツレラによるもの。
クルクルと船酔い状態になる。
「3の法則」 というのがあって、症状が出てから病院に来るまでの時間が
● 3時間前なら、3日で治る。
● 3日前なら、3週間で治る。
● 3週間前なら、3ヵ月で治る。
● 3ヵ月前なら、もう治らないかもしれない。
だそうです。
実際、きちんとした診断がつかなくてあちこちの病院を転々としているうちに日がたってしまって・・・
というケースは多いそうで、こういったウサギ特有の症状が出たときに頼れる病院の見当を予めつけておくことは大切だと思いました。
回転の前には眼振があるはずなので、その段階で気付いて来院できればベストだそうです。
病院に連れて行くときには、キャリーの中にタオルをウサギの両側に詰め詰めして動けない状態にして運びます。
このときも、コーンシロップを飲ませてやると良いそうです。
なだめるように話しかけ、落ち着かせることも大事です。
ウサギさんは何かのとき、包み込んで安心させてあげると良いそうです。
ステロイドを使って慎重な治療が必要ですが、1回目の発作は治るそうです。
4. てんかん
● てんかんは発作の原因となる脳の電気障害を引き起こす。
● 発作は、てんかん性の症状である。
● 人間、犬、猫、ウサギに起こることが知られている。
● 様々な理由から生じる。
● 治療不能な脳の傷が原因だと再発する可能性が高い。
てんかん・発作
● 脳の機能に異常。
● 深刻な症状の前兆である。
● 医学的原因を特定し、適切な治療に役立つ
● 低血糖。
● 殺虫剤。
● 微胞子虫
エンセファリトゾーンなどで脳にダメージがある場合には治らない。
通常のてんかんなら3分以内に発作は治まる。
低血糖による発作なら、コーンシロップでOK。
実際に合った話で、てんかん発作を起こし、キューっと鳴いてひっくり返った(そのときすでに死亡モードに入っていた)ウサギさんを、飼い主さんがとっさに無我夢中で首を持ってパンパン振ったところ、蘇生したという話を紹介してくださいました。
飼い主さんの機転がウサギを救った、最後まで諦めてはいけない、というお話でしたが、まあ、振ってダメになっちゃう場合もあるんじゃないかとか・・・そんなことも思ったりして、難しいですね。
機転もさることながら、やはり時の運の方が大きいんじゃないだろうか。。。
5. 腎不全
● 急性の腎不全と慢性の腎不全がある
● 急性の腎不全 :血液感染、心不全、ショック、ストレスなどにより引き起こされる。
● 老化 糖尿病 尿路感染
● 尿石、尿閉塞が原因
元気がない、食欲がない
● 貧血体に酸素を運ぶ赤血球が減るため、疲れやすい
● 慢性腎疾患 : 尿が増える 脱水
● 尿毒素が血液中に堆積
● ウサギは吐けない
● 体重が減る
ネザーランドドワーフには腎不全が多い。
バランスウォーターも良いが、含まれている糖が腸内発酵を起こすので、継続して使う場合には、ウサギさんが許容してくれる範囲で薄めて用いると良い。
ウサギの飲水量は 100mL/kg
急性の腎不全は変な草を食べたとか、そんな事でも起こる。
メスは尿道が広いので、結石が大きくなりやすい。
6. 怪我
出血
● 固まった血が剥がれると止血できないので、ガーゼは取り外さない。
● 頭部の傷 止血のために首を押したり、圧力をかけてはいけない。
● 止血できないとき(外科縫合が必要)、皮膚内に異物が入り込んでいるときは、
直ちに病院に運ぶ。
出血 (咬み傷、喧嘩、怪我)
● 無菌ガーゼか清潔な布巾などで傷を覆う。
● ぐったりしていなければ、タオルで包んで生理食塩液等で傷を洗う。
● ガーゼに血がしみこんでくる場合には押さえる。
● 傷の上の方を押さえ、圧力をかける。
● 出血が止まらない場合には、傷口付近を包帯。
● 血液の流れは止められないので、ハンカチなどできつく縛りすぎない。
骨折 (びっこ・腫れ・痛み・内出血・骨の突起)
● ウサギを落ち着かせる。
● 骨が突起してしまっている場合は、骨が動いたり触ったりしないよう、
緩めに包帯し、へらやテープで止める。
● 折れた手、足は引っ張らないこと。
● 直ちに病院連れて行く。
熱傷、炎症
● 水を5分から10分流しながら洗う。
● カラーをつけるか毛布でくるむなどして、患部を掻かないようにする。
7. その他
目の異物
● 生理食塩液か水道水で洗い流す (フラッシュ瓶を使うと良い)
● 柔らかい布で目の周りの涙、目やに、残った異物のかけらを拭いとる。
● 指を目の中に入れない。
● 目に損傷があるとき、異物が取れないときには直ちに病院へ。
子宮がん
● 2歳でがん年齢。 3歳で子宮がんが多い。
● 避妊手術でその心配はなくなる。
● 子宮がんは触診で分かるので、手術がイヤな場合は定期健診を。
よりよく長生きさせるために
● 日常的、ルーチンな血液検査
● まずは、お誕生日健診、1歳のときに。
● 基礎的な正常値をとっておく。
● 4歳までは毎年
● 血液化学、完全血球測定(CBC)と尿検査
● 6歳になったら、年2回の健康診断
以上、とりとめもなく書き連ねましたが、参考になれば幸いです。
この内容で、無料立ち見OKの講習会でした。
曽我先生の講習会はお得ですよ(笑)
講習会の後、先生に質問する機会がありましたので、ハクたんのことをちょこっとお聞きしてみました。
毎年、夏になるとお腹の調子があやしくなって体調不良に陥るハクたん。
去年はコクシジウムが出ましたし(大人のくせに)、今年のは随分と長引きました。
血液検査も異常なし。
子ウサギのときには、十分におっぱいを飲めず、1ヵ月で母ウサギと引き離されました。
命にかかわる下痢をしたことも何度か。
「その頃に来客やイベントなどストレスになるものがあるのでは?」
と聞かれましたが、夏はまったくと言っていいほどイベントなし。
仕事で遅くなるとかもない。
「それならば、お母さんから腸内細菌叢をもらい損ねたのでしょうから、定期的にクリティカルケアで植え付けて行くと良いです。
そういう子はそれで良くなることが多いですよ。」 とのこと。
良いことを聞きました ^^
ハクたん、来年はその手で行こう。
クリティカルケアは常備していますから、忘れないように (実はこれが難しかったり・笑) 作ってあげましょう。
でもね、クリティカルケアってお高いんですよね。
ハクたん、ほどほどにお願いしますね。


