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兎鳥庵 日記

インコ2羽と ウサギ5羽にヒト1人の日常です。 - ときどき実験ウサギさん里親募集 -

あい君のこと 2

2月23日(水)
朝9時に電話するようにとの事だったので、職場からウサギ専用回線にメッセージを入れて待ちました。
ほどなく、山口先生から電話で、やはり亡くなったとの連絡がありました。
昨夜、12時半頃に吉本先生が見回ったときには、夕方と変わらず横になった状態で息もあったので、明け方に亡くなったのではないかという事です。

解剖と組織検査の件は了解していただいて、後ほどきち先生が解剖してくださるとのことでした。
お話をしていて初めて気がついたのですが、水曜日はウサギは休診だったんですよね。
本当はお休みだったのに悪かったな~と。
曜日の感覚も、すっかり吹っ飛んでしまっていました。

「遺体は病院から直接、葬儀屋さんに出すこともできますが、どうされますか?」
と聞かれて、そうしてもらえるなら手間がなくていいやと、お願いすることにしました。

はがき

 後日、葬儀社から送られてきた葉書


死んだあとにまでそんなにお金をかけられないし、ペット葬儀の会社には変なところもあるから、ウサギたちが亡くなったときには市の火葬場に持って行って焼いてもらうつもりでした。
でも、それだともう1回休まなくてはならないから、仕事が一段落するまで冷凍庫にでも入れとくかなぁ、いや、それじゃあ、冷凍庫、あいちゃんで一杯になっちゃうじゃん・・・。
なんて、悶々としていたので本当に助かりました。

でも、それだと、もう顔も見られないのね・・・
と気がついて、夜、少し遅くなってしまうけど、会わせていただけないか聞いてみました。
きち先生もその後、ご予定があるけど、19時20分前後なら大丈夫とのお返事でした。

残業できないのは痛いけど、あい君とはもうこれで最後だもんね。
と、5時で定時退社して車を走らせました。
だけど、間が悪いというかなんというか、箱根新道が事故で全面通行止め(涙)

そのまま国道を走っていくつもりでしたが、どうも途中で曲がる場所を間違えたらしく、とんでもなく険しい道に入ってしまってあせりましたが、どうやら、それは近道だったようで案外、早く到着できました。

病院に入ると、もう患者さんは誰もいませんでした。
あ、そうか、ウサギが休診だと早く終われるのよね、と納得。
重ねがさね、ご迷惑をおかけしてしまいました。


きち先生も私服でいらしたのですが、わざわざ着替えて出て来てくださいました。

「解剖の後でも、気にしないので大丈夫です」
と伝えてあったのですが、あい君、言われなければ分からないほど、きれいな状態でした。

脳を摘出したら、それなりな姿になるだろうと思っていたので、びっくり。
顔の中央を縦に縫い合わせてあるのも、なんだか縫いぐるみのようで可愛い。

山口先生に 「直接、葬儀社に・・・」 と言われたときに、つい、
「それは、解剖してグチャグチャだからって事ですか?」
なんて聞いてしまったのですが、まったくもって失礼いたしました。
(そのときは、汁が滴ったりして連れて帰るのも大変なんだろう・・・なんて、大真面目に考えていたのです)

普段、仕事(動物実験)で解剖するときって、後のことは考えなくてもいいから、最後はかなりすごい事になります。
そういうのを見慣れているので、まさしくカルチャーショックでした。

「いやぁ、ウサギって脳、取りにくいじゃないですか。
ウチ、みんなザクザクやって取ってますけど・・・すごい、きれいですね!」

普段はヘンな事を言わないように気をつけているのですが、非常時にはストッパーなんてどっかに行っちゃいます。

普通、言わないですよね。
最後のお別れに来て、そんなこと。

「あの、お仕事、何やっていらっしゃるんですか?」
なんて聞かれてしまいました

大変に気を遣っていただいて、お別れに来るというので、わざわざきれいに取れるような方法でやってくださったという事です。
多少の挫滅はあるけど、エンセファリトゾーンの確認だけが目的なら、それで問題ないのでと。

きち先生は、ざっと解剖の結果をお話してくださいました。
(以下、走り書きのメモをもとにしているので、正確ではない部分もあるかもしれません)

胃 : 大量の毛球。
心臓、肺 : 正常
腎臓 : 左側が黒っぽくなっているが、死亡前の姿勢による(横になっていたので)死後変化の可能性あり。
     エンセファリトゾーンに腎臓をやられると、白色斑が見られるが、あい君にはなかった。
肝臓 : 臓側面に死後変化。斑点があるが、何かが治った跡かもしれない。
腸 : 正常。盲腸にもガスはなかった。
脳 : 出血もなし。きれいな状態。
血管 : 弾力があって良い状態。

(ウサギが長生きするには、血管の状態が重要ではないかと先生は考えておられるそうですが、あい君はまだまだいける状態だったそうです)

胃が破裂するようなときには、GOT、GPTが3桁に跳ね上がるそうですが、あい君は正常値で、胃の負担も軽く、それほど苦しまなかったのでは、ということです。

直接の死因は胃の閉塞でした。
朝、抜いたときの液と夜に抜いた液で全然臭いが違ったそうです。
夜のものは腐敗臭がしたそうです。
そうならないように、朝、すぐに抗生物質も投与してくださったそうですが、効果がなかったのでしょう。
オシッコが出ないので、利尿剤も相当量投与してくださったのですが、最後まで出なくて、ただ、今朝、亡くなっているのを見つけたときにはしていたそうです。


「実は、今日は文鳥さんの命日なんです。 だから、きっと、連れて行かれちゃったんだと思います。」
そう言うと、先生も、
「ああ、そういう気の流れってあるんですよ。」
とおっしゃっていました。

多分、同じ日に亡くなったのは偶然の一致ではないのでしょう。
21日の夜、病院での処置が終わったその時まで、全然、死にそうな感じじゃなかった。
翌朝、病院に駆け込んだときも、きち先生の感触は、「これは行ける」だったそうですし。

うっ滞さえなければ、まだまだ生きられたのでしょう。
さすがに8歳を過ぎたころから年齢を感じさせるようにはなってきたけど、まだまだ元気で団子の会ではいつもはしゃいでいました。

これが、 “時” なんだと思いました。
自分にも、先生にも止められなかった。

もっとちゃんとブラッシングできていればとか、エンセファリトゾーンの治療を積極的にやっていればとか、いろいろ後悔はあるのですが、これが自分のいっぱい、いっぱいでした。
ダッチさんの里親募集に忙殺されている中でのことでしたので、殆どかまってあげる事もできなかったのも悔やまれました。

でもね、ヤッピーさんが呼びに来たんだから、しょうがない。
妙な割り切りがありました。


最後にみんなとお別れもさせてあげられなかったけど、前日の晩、山口先生が電話してくださったあのタイミングでは、
「飼い主さんから連れて帰りたいと言われても、お渡ししていいのか悩みます。」
ということです。
連れて帰る間に亡くなってしまうことが多くて、それだと最後に苦しい思いをさせてしまうからと。
酸素室で最期を迎えた子の死に顔はとても安らかなんだそうです。

開腹手術についても、うまくいったなと思ったとたんに急に状態が悪くなって亡くなってしまうことが多く、なかなか踏み切れないそうです。
「助からないのに、その上さらに最後に痛い思いをさせるのは可哀想で」
と先生はおっしゃいます。
この辺は、本当に先生のお考え次第なんでしょうね。
ただ、例外は 1kg 未満の小さいウサギさんで、鼻にチューブが通らないので吸引もできず、パンパンになって苦しむので、その場合には開腹手術をするのだそうです。



病理組織検査結果

以下に、診断書を掲載しました (クリックすると大きくなります)。

病理組織検査

「この結果をいいというのか、悪いというのかは分かりませんが・・・」
と先生は切りだされたのですが、結論を言えば、今回の検査では、エンセファリトゾーンの痕跡は何もなかった。

「何年かすれば、また、変わるかもしれません。」 とも、
「今回、あいちゃんを見させていただいて、自分なりに整理がつきました。」
とも、おっしゃっていました。

それが具体的にどういうことかは聞かなかったのですが。。。


この検査結果を素直に受け取れば、あい君はゆるやかな首振りや眼振といった神経症状がみられていたけれど、エンセファリトゾーンではなかったということになります。
それじゃあ、何だったのか・・・という疑問は残りますが。

自分にとっては、治療を怠っせいではなかったということで、ある意味、救いかもしれません。
うっ滞にさせてしまったという管理上の落ち度はあるとも言えますが。

でも、最後に病理検査をできて、自分も先生もすっきりできて良かったと思います。
うやむやで終わってしまっていたとしたら、残った子たちについてもエンセファリトゾーンの脅威を必要以上に感じていたままだったかもしれません。


ウチは大所帯で、あい君は特に目をかけた子でもなかったのですが、それでもいなくなると寂しいです。
何でこんなに悲しいんだろうって、自分で驚くくらい。
ケージも片付けられないままです (ズボラなだけって話もありますが)

ヤッピーさんと一緒

チーママさまともこまるさまからは、お花をいただきました。
ありがとうございました。
亡くなったときにコメントをくださった皆さまもありがとうございました。

写真は、もこまるさまからいただいたお花です。
うまく撮れなくて分かりにくいですが、手前に鳥さん、奥にウサギさんがいます。
あい君がヤッピーさんと楽しく走り回っている様子をイメージしてくださったとのこと。

ライオンズのもとの飼い主さまから連絡があって、ライオンズのママ、ミルクちゃんも今年の初めに亡くなられたそうです。
あい君、ママと瓜二つだったから・・・ママにも会いに行っちゃったのでしょう。

ライオンズというのに、2人では寂しくなってしまいました。
はる君とまい君には、あい君の分も頑張って生きてほしいです。
ハクたんにも、前にも増しておじいちゃま方を大切にするようにお願いしたいところです。




追記
きち動物病院の山口先生が退職されたということを、先日、お聞きしました。
突然のことで、お礼も何も言えないままでした。
山口先生には、あい君とゴブちんが大変にお世話になりました。
この場を借りて、御礼申し上げます。
新しい職場での、いっそうのご活躍をお祈りいたします。


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