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兎鳥庵 日記

インコ2羽と ウサギ5羽にヒト1人の日常です。 - ときどき実験ウサギさん里親募集 -

ヤッピーさんからの贈り物

ヤッピーさんが入院した日、夜の9時頃に病院へ電話してみました。
8時過ぎに2回目の注射と聞いていたので、経過が気になりました。
先生によれば、さっき注射して、あと2時間後くらいに強制給餌する予定とのことです。
お昼にも強制給餌したのですが、その分のフンがまだ出てきていないということで、かなり圧迫されているということでした。

病院で聞いた説明では、一週間後、二週間後という話も出たのですが、あの状況からはそんなに持つとも思えませんでした。
せいぜい、3日くらいか・・・と思いました。
そして、その後も状況が改善しないということは・・・急がなくてはならないのです。
幸い、仕事の方も少し余裕が出てきていたので、翌月曜日、お休みを取ってチェリーちゃんとお見舞いに行くことにしました。

入院時のお話では、
「亡くなった時は連絡しますが、それ以外で病院から電話をすることはないので、いつでも様子を問い合わせてください。」
ということでした。
以降、電話がないのでホッとしつつ、朝、診療開始の15分前に電話をかけました。
1回目の電話が留守電になっていたので、もしや・・・と半分覚悟を決めて再度電話。
ご挨拶もそこそこに、開口一番、ついて出た言葉が、
「あの・・・生きてますか?」
「生きていますけど・・・ちょうど今、朝の処置が終わったところでなんですが、ヤッピーちゃん、へたっています。もしかしたら、もう・・・」
「今から、チェリーちゃん連れてお見舞いに行こうと思うんです。」
「間に合わないかも」 と先生はおっしゃったのですが、とにかくもう行くしかない。
11時半くらいに着くと伝えて、電話を切りました。

無駄と知りつつも、差し入れのお食事セットをバッグに詰め込んで、9時49分発の新幹線に飛び乗りました。
そして、席に着こうとしたその瞬間・・・・・・・携帯が鳴りました。
動き出した列車の音で、先生の声もよく聞き取れません。
「ヤッピーちゃん、先程、亡くなりました。」
ようやく聞こえたその言葉に、
「お世話になりました。」 って言うのが精いっぱい。
悲しいという感情も凍りついたような感じで、ただ涙ばかりが流れ落ちます。

回らない頭で、
「ああ、そうだ、解剖していただきましょう。時間的にもちょうどいいじゃない。」
と決めました。
じきに休診時間になりますから、その間にやっていただけるでしょう。
もちろん、亡くなったという連絡を受けたらすぐにお願いしようとは思っていたのですが、
どうしてもその場に立ち会いたかった。
ヤッピーさんがどんな状態だったのか、自分の目で確かめておきたかった。
そのタイミングの絶妙さは、畏れを覚えるほどでした。


病院に着くと、すぐにヤッピーさんとご対面しました。
きれいに形も整えてくださって・・・ヤッピーさんは静かに横たわっていました。
くちばしと脚が黒ずんだ暗紫色になっていて、普通はこんなに黒くならないんじゃないかしらと思いました。

最後は殆ど意識もない状態で、静かに逝ったそうです。
ヤッピーさんの亡骸を抱いて、チェリーちゃんに
「ヤッピーさん、バイバイよ。」 と、差し出しました。
チェリーちゃん、ちょっと離れてこわごわとヤッピーさんを覗き込んでいましたが、亡くなったことは理解してくれたでしょうか。
チェリーちゃんにも、ヤッピーさんが生きている間にきちんとお別れをさせてあげたかったです。


解剖を切り出したのは、先生と同時でした。
先生も私の考え方や職業はご存知でしたから、そのつもりでいてくださったのでしょう。
すぐさま始めてくださいました。
レントゲンやエコーで見える像から推測されることと実際にお腹を開いてみたときの状況には違いがあるので、解剖して確かめることは非常に重要だと先生もおっしゃっていました。


「肝臓・腎臓・肺については、細菌培養 (これで細菌感染であったかどうかが分かります)
と病理組織学検査をします。」

と先生はおっしゃってくださいました。
自分としては、解剖していただいただけで十分という気持ちはあったのですが、先生の申し出は本当に嬉しかった。
組織学検査をすれば、目で見ただけでは分からない、いろいろなことが分かるから。

ただ、鳥の病理ができる先生というのは、非常に少なくて、受けてくださる先生を探すのは難しいということです。
病理検査の分野でも鳥が特異であるというのも意外でしたが、それができる先生が殆どいらっしゃらないというのも、鳥医療のお寒い現状を見た思いです。
病理組織学検査までいかなくては確定しないことって、たくさんあるんじゃないのかな~と思います。
私が携わっている毒性試験の分野でも、どれほど生前検査のデータが揃っていても、病理組織の結果を待たなくては結論が出ませんから。

先生は、検査はCBL (コンパニオンバードラボラトリーズ) の真田靖幸先生にお願いするつもりだとおっしゃいました。
「非常にお忙しい先生なので、お断りされてしまうかもしれませんけど、その時はスライド持って突撃しますから・・・」
と、そこまで言っていただいて、涙出そうでした (とっくに出てましたけど)。

さらには、感染症の遺伝子検査もしたいと先生はおっしゃってくださいました。
以前、サブレの感染症検査に関し、「サブレ=ヤピチェリ」 と理解したと書いたのですが、必ずしもそうとは限らなくて、鳥種によっても若干、異なる可能性もあるのでということです。
ほんの軽い気持ちでサブレは検査を受けさせたのだけど、こんなところでそれが生きてくるというのもタイミングが合いすぎていて怖いくらい。

ただ、これだけの検査をするには莫大な費用がかかります。
まあ、10万は下らないみたい。
「せめて、半額でも負担させていただけませんか?」
とお願いしましたけど、先生、首を縦に振ってくださらない。
「お花代」 とかなんとかおっしゃっていましたけど、そんな高いお花があるもんかいって感じです。
開業して1年もたたないし、失礼ながら、まだまだ経営的には軌道に乗っているようにも見えませんので、心配になってしまいます。
鳥の先生、これ以上減ったら困りますから。

ヤッピーは本当に不可抗力だったと思います。
助けることはできなかったけれど、亡くなるちょっと前まで足しげく病院に通っていたことも、決して無駄ではありませんでした。
ヤッピーさんは命と引き換えに、たくさんのものを遺してくれました。
それが120%生きるようなタイミングで・・・。

ヤッピーさんのことだもの、もう一度ミラクルがあるかも・・・と、一縷の希望をつないでいました。
でも、これほど一生懸命診てくださる先生に出会えたこと、それこそがヤッピーさん最大のミラクルだったのでしょう。



解剖の時、
「こんなふうに、急に肝臓が大きくなって来院する文鳥さんって、よくあることなんですか?」
とお聞きしてみました。
「よくあります。だけど、結局は原因不明で終わってしまうんです。」
こういうの、よくあるよね~で終わってしまうのだそうです。
「解剖まですることは、よくあるんですか?」
ともお聞きしてみましたけど、やはり、獣医さんから 「解剖させてください」 とは、なかなか言いにくいそうです。
飼い主さんの気持ちというのもあるからなかなか難しいのでしょうが、腑に落ちないような亡くなり方をしたようなときには解剖するというのが定着するといいのにと思います。
鳥専門病院も目が回るくらいお忙しいところが殆どですから、生きている子の診察だけで手いっぱいみたいなところもあるでしょうし、そういう意味でも難しいのでしょうか。



↓ 遅ればせながら、ヤッピーさんのレントゲン写真です。
  デジカメで撮影したものなので、ちょっと画像は悪いですが・・・。

仰向け  横向き

お腹がパンパンになっていて、さぞ苦しかったでしょう (涙)
でも、身動きとれないほど苦しかったのは丸1日程度。
飼い主が心配する暇もないほどに潔くて、最後まで親孝行な子でした。

横向きの画像(2枚目)を見て、先生が、
「あれっ、ヤッピーちゃん、右足骨折していますよ・・・もう、治ってますけど。」
って、おっしゃっていました。
足を痛そうにしていたのは、昨年1月に胴体着陸していたときだけ。
あわてて横浜の病院に連れて行ったけど、そのときには何でもなさそうにしてたから、打撲でしょうということで、レントゲンすら撮らなかった。
そこまで我慢強くなくても・・・って思うのだけど。
ヤッピーさんらしいです。

入院中、先生が撮影してくださった写真を見たら、なんとなく、ヤッピーさん、得意げでした。
先生をひとり占めして悦に入っていたのかもしれませんね。



 <以降、解剖の話になるので、苦手な方は読まないでください。>

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