fc2ブログ

兎鳥庵 日記

インコ2羽と ウサギ5羽にヒト1人の日常です。 - ときどき実験ウサギさん里親募集 -

夏の暑さ管理と季節の変わり目の管理について(前篇)

もう夏も終わりかけて、今更感満載ではありますが・・・
8月2日の曽我先生の講習会のダイジェストです。


ウサギは夏場に体調崩をしやすく、非常に熱中症になりやすい動物
 高齢のウサギや幼いウサギは、20-23℃ が適温。
 ウサギの快適温度は人より 5-10℃ 低いことに注意。
 (人や他の動物と暮らす場合は、お互いに折り合いの付く温度で!)
 ネザーは耳が小さい、ロップは耳が垂れている分、放熱の効率が悪いことに注意!


熱中症とは
 神経のニューロンが変性して死ぬことにより、脳浮腫を起こす
 凝固異常 ・・・ 沸騰してしまっている状態
 細胞破壊を起こさず耐えられるのは数分
  (なってしまってからでは間に合わない!!)


熱中症の症状
 耳が赤い あえぐ 嗜眠 よだれ
 動きが鈍い状態が続くと痙攣を起こす。
 痙攣をおこしたらまず助からない


対応
 おかしいなと思ったら耳を触って。
 普段からいつも耳を触ってほしい。
 熱さ、動脈の拍動があれば、病院に来るまで持たないので、まず体温コントロールを。
  まず耳から : 氷水スプレーを耳に
  首にアイスノンを巻く (頸動脈を冷やす)
  冷水で絞ったタオルで包むなど、体を濡らすのはNG (体温低下が止まらなくなる)
 

留守の間の管理
 室内が3 0℃ を超える場合はエアコンを
 外なら日陰を作る


暑さ対策グッズ
 1.5L ペットボトルを凍らせて置く (濡れないようタオルを巻く)
 大理石、セラミックのタイルなど
 水分を与える
 ケージに絞ったタオルをかけておく
 (高齢者などがいてエアコンを使えない時は有効な方法)
 齧れるものを体のそばに置くのはNG


夏のお出かけ
 温度湿度変化に弱い
 電車での移動は負担
 車でドアツードアがベスト
 凍らせたペットボトルと共に

 湿度が高い時期は放射しないので、温度が低くても油断は禁物。
 車には絶対において行かないこと。
 移動中は水を飲まないので、果物や野菜で水分補給させる。


換毛期
 つながりウンチ 注意報!
 胃腸うっ滞のときは待たずに来院を!

 エネルギーを消耗する
 換毛期に隠れていた病気が出てくることも。
 餌の量の調節が必要
 牧草の摂取が必須 常に食べられるように
 水分補給できるように生牧草もお勧め
 常に新鮮な水を [必要量 (100mL/kg 体重) 飲めているか注意!]
 ボトルより器で

 ネザーは特に神経質。
 環境が変わるとすぐに水を飲まなくなり、腎疾患も多い。


夏のおすすめ
 グルーミングスプレー 体全体しっとりするまで
 ブラッシング 表面よりは中の絡まった毛をとる
 仕上げはラバーブラシで表面に浮いた毛をとる

 病院に来ると緊張する ⇒ 人でいう鳥肌が立つ状態になって、毛が抜けだしてくる。
 帰ってから毛をすいてやること。
 グルーミングはうさぎとのコミュニケーションの場でもあるので楽しく!

 ペレットは高繊維のものを
 湿気を持つと崩れるものがいい (ウーリー社のものなどがお勧め)


暑くてぐったりしている・・・
 本当に熱中症?
 熱中症かどうかは体温を測ると分かる。
 タオルで包んで(自分と同じ色だと安心するので、毛色と同じ色のマイタオルを)
 日ごろ、タオルを使って怖がらないように。
 先端がフレキシブルな動物用体温計がアマゾンで売っているので持っていてほしい。
 体温を測るのはとても大事。

  2015080214000000.jpg


 別の病気の可能性も高い
 換毛期で免疫力下がっている
 不調のシグナルは、かなり悪化してから出るので注意を!!
 

PageTop

うさぎの胃の生理機能と病気3 (うさフェスタ2013 講習会)

「知っておこう、うさぎの胃の生理機能と病気」 (田向健一先生、うさフェスタ2013 講習会) の最終回です。
今回は、たまに内臓の写真なども出てきますので、苦手な方はご注意ください。

ただ、ウサギと暮らしている以上、以下に取り上げられている疾患は必ず遭遇します。
いざという時に判断を誤らないために、また、ウサギさんのために最善を尽くせるよう、飼い主として知識を持つことは大事なことです。
長くて申し訳ございませんが、是非、ご一読いただければと思います。


スライド32

胃腸の病気はウサギには非常に多いです。
慢性であったり、急性であったり、いろいろ。
以前は毛球症と呼ばれていましたが、その中には胃腸うっ滞、急性胃拡張、盲腸便秘などがあります。
ときに、サイレントキラー、静かな殺し屋と呼ばれ、ウサギを突然殺してしまう怖い病気。
長期に及ぶと、胃潰瘍や脂肪肝などの病気も引き起こします。

胃腸の病気 = 毛球症かというと、そうではありません。


PageTop

うさぎの胃の生理機能と病気2 (うさフェスタ2013 講習会)

「知っておこう、うさぎの胃の生理機能と病気」(田向健一先生、うさフェスタ2013 講習会)の続きです。

スライド23

スライドは「胃腸の病気」となっていますが、今回は本題に入る前の、ウサギの消化吸収のシステムについてのお話です。

ウサギさんのお腹の健康を保つために、飼い主として知っておきたい内容です。
是非、ご覧ください


PageTop

うさぎの胃の生理機能と病気1 (うさフェスタ2013 講習会)

ちょっと間が空いてしまいましたが、うさフェスタ2013講習会、田向健一先生の回です。

  田向先生の病院はこちら  【田園調布動物病院】

今回もスライドの枚数が多いので、3回に分けてのご紹介となります。



スライド1


PageTop

うさぎに家庭内で起こりうる事故 第2部 (うさフェスタ2013 講習会)

進藤先生の講習会、後半は 「異物誤飲」 について。

スライド28

こちらは、怖い写真は出てきませんのでご安心を ^^

PageTop

うさぎに家庭内で起こりうる事故 第1部 (うさフェスタ2013 講習会)

今回は、 【うさぎと鳥・小動物の専門病院 BANNY GRASS】 の進藤祐介先生のお話。
スライドがたくさんありますので、2回に分けてご紹介いたします。

去年、進藤先生の講習会は押すな押すなの大盛況で、最前列にいなくてはスライドも見えない状況なのが分かっていたので、今年は林先生の回から、場所取りしましたよ(笑)
立ち見でしかもぎゅうぎゅうなので、2列目でも前に背の高い人がいるともう、何も見えないし、メモを取るスペースもない状況なんです。
毎年、このような状況は発生しているので、対策を考えてほしいものです。


スライドの方、蛍光灯の反射で写真の写りが悪く、見にくくて申し訳ございません。

スライド1

上のタイトルは勝手に省略してしまいましたが、正しくは、スライドのとおり。

「うさぎに家庭内で起こりうる事故。
 誤飲、骨折など実際にあったケースの治療について」




スライド2

病院は葛飾区、柴又駅を出てすぐ、寅さん像のすぐ近くにあります。



スライド3

先生のお人柄でしょうか、待合室の飾り棚には飼い主さんたちが持ってきてくださったという小物がぎっしり。
ウサギの飼い主さんは観察力に優れているので、一つとしてかぶったものはないというのが自慢だそうです。



スライド4

お話は、「骨折・脱臼」と「誤飲」の二部構成。
家庭内の事故による来院で、とても多いのがこの2つだそうです。


まずは、第一部「骨折・脱臼」についてのご紹介です。

スライド中に写真がふんだんに出てきますが、中にはちょっとかわいそうな写真もあります。
骨折治療でウサギさんの足が串刺しになっているものとか・・・
苦手な方はご注意ください。

この後は、「つづきを表示」をクリックしてご覧ください。


PageTop

『The 牧草』!! (うさフェスタ2013 講習会)

うさフェスタの講習会シリーズ第2弾は、ちょっと毛色の変わったところで、ウーリー社の小澤邦世社長の語る牧草のお話。
個人的には、これが一番面白かったです ^^


社長さん

元々はウサギのブリーダーをしていたという社長さん。
その過程でウサギの食べるものも自分で作ろうと、長野県に畑を買ったのが始まりだそうです。

現在はアメリカのワシントン州に何人かの指定農家さんがいらして、そこの牧草の中から一番良いものを、スタッフが味見をして確認したうえで、商品として販売されているそうです。
(はじめ、ウサギの試食スタッフがいるのかと思ったら、味見しているのはどうやら人間らしい)



まずは、チモシーの知っているようで知らないお話から。

チモシーには、馬用スーパープレミアム、馬用プレミアム、牛用プレミアム、スタンダード・・・
(その年に取れた一番良いものがスーパープレミアム)
とグレードがありますが、これは毎年変わるものなのだそうな。

たとえば、前年にプレミアムだったものが、翌年、天候不順で良いものが取れなければ、それがスーパープレミアムに格上げされるのだそうです。
つまり、馬用スーパープレミアムと言っても、毎年同じ品質ではないということ。

ウーリーさんでは、馬用とか牛用とかに係わらず、ウサギが一番好んで食べるものをピックアップされているそうです。



イネ科牧草には、多年草と単年草があります。
チモシーは多年草、イタリアンライグラスは単年草。
一度種をまいたら何年かに渡って何度も収穫できるのが多年草、1回収穫したらそれで終わりなのが単年草。

家庭菜園でチモシーの種をまいても、殆どの場合、うまくいかないそうです。
ひょろひょろっと糸みたいなのが生えてきて、それで終わっちゃう。
多年草は根っこが発達していないと、上が伸びてこないんだそうです。

一方の麦などは種が大きいので、根っこがしっかりしていなくても何とかなる。
こういうことなんだそうです。



一番刈りから四番刈りまで

見にくくて申し訳ございませんが、これは1番刈り、2番刈りの収穫から越冬するまでの様子を絵に描いてくださったものです。
草の絵は、左から順に1番から4番まで。
下の曲線は気温の変化。


1番刈り
背丈が高く(繊維質が多い)、穂先も大きい。
越冬している間に根が成長し、土中に蓄えられた養分を吸って大きくなる。

2番刈り
1番刈りを収穫した後に出てくる2番刈りは、背丈も小さく、穂先も短い。
気温の高い時期に成長するが、それは逆に大きくなれないのだという。
気温がピークの頃には、その後寒くなるというイメージが働くのだそう。
土中の栄養分も大半を1番刈りが吸収してしまっているので、低栄養下で成長する。

3番刈り
茎も穂先もすごく短い。
冬が近いので、何でもいいから早く種を作って子孫を残そうとしている状態。

4番
葉っぱがちょろちょろ出てくる程度で、穂先は出ない。
翌年の1番刈りのために、自分が越冬して生き残ろうとしている状態。

これを毎年繰り返します。




チモシーは種まきして翌年の春(5-6月)に収穫します。
それが1番刈り。
でも、最初の年のものは茎が細くて繊維質も少ない。
その代り、柔らくて嗜好性は良い。

またその翌年、初めて収穫するものも1番刈りです。
一口に1番刈りと言っても、収穫年数によって、全然違うということです。
年数を重ねるにつれ茎は太くなり繊維質も増えますが、同時に嗜好性は低下していきます。


チモシーは4-5年に渡って収穫するそうですが、嗜好性が良いのは1年、2年、せいぜい3年目まで。
それ以上になると、茎がガチガチになって嗜好性が落ちます。

牧草を選ぶときには、そこそこの繊維質で嗜好性の良いものを選んでほしいそうです。
ウンコは大きければ大きいほど良いと言われていますが、実際には、ほどほどの大きさのが数がたくさん出る、そういう牧草を選んでほしいそうです。
とはいえ、何年目の1番刈りとかそういう表示をしてくれないと分からないですよね。


あとは、穂先の問題。
穂先が出てくると、嗜好性はそっちに行ってしまって、茎の方はなかなか食べなくなる。

また、穂先が出てしばらくすると花が咲きます(穂先が紫色っぽくなる)。
チモシーは年2回花を咲かせるそうですが、穂先が出てどのタイミングで収穫するかで、嗜好性はガラッと変わって来るそうです。
花が咲いちゃうと、美味しくなくなるんでしょうね。

馬用のスーパープレミアムが繊維質があって一番いいんだって思っても、実際、ウサギには嗜好性があまりよくありません。
美味しい牧草の見分け方は、 穂先が短くて紫色になっていないもの選ぶと良いそうです。
色や香りも嗜好性に直結するそうです。



なるほどと思ったのが、牧草も野菜と同じく標高の高いところで栽培すると美味しくなるという話。
酸素が薄く気温の低い環境下だと、植物の成長は遅くなります。
伸びようとして夜の間に糖分を蓄えるものの、実際にはそんなには伸びない。
そんな訳で、朝一番が最も蓄えている状態で、早朝に刈り取るのが美味しいのだそうです。
(だから商品名が「朝採りナントカ」なのですね)



パッケージの成分表示も見てほしいそうです。
1番刈りと2番刈りでは成分も違うそう。
2番刈りの方がタンパク質や脂肪が多くて嗜好性も高いそうです。



マメ科の植物は高タンパク、高脂肪、高カルシウムということで敬遠されがちですが、アミノ酸などの栄養素はイネ科に比べて良いものがたくさん含まれているので、少しずつ取り入れるといいそうです。
うっ滞のときにたくさんあげてはよろしくないですが、普段から一握りずつアルファルファを混ぜてやるとかするといいそうです。


また、チモシーを食べる子は、バミューダ、オーチャード、イタリアンライグラスなど、他の種類のイネ科牧草にもチャレンジしてほしいそうです。
ペレットもチモシー原料ですから、牧草もチモシーだけだとチモシー過多になってしまうそう。
「牧草=チモシー」というイメージがあるけれど、単に流通のしやすさからチモシーが選ばれているにすぎないのでと。

色々な牧草をあげて、ウサギのバランスを向上させることを考えてほしい。
チモシーを食べない子は、他の牧草を試してみて。
チモシーだけで育てるのではなく、複数のものを組み合わせてほしいそうです。

他の種類の牧草が手に入らない場合は、野菜を少量ずつ取り入れると良いそうです。
生野菜には天然のビタミンやミネラルも豊富です。
残り野菜で良いので、500円玉大の量を何種類かあげることで、栄養バランスが向上します。
「チンゲンサイはカルシウムが多いから」と言う人もいますが、たくさんあげるから問題なのであって、ほんの少し与える分には問題ないそうです。
(補足:野菜に含まれるカルシウムは吸収されにくいという話もありますね)


ウーリーさんは、「ウサギの栄養バランス」を視点に商品開発を行っていらっしゃるそうです。
目安として、チモシーは全体の60%くらいで良く、それ以外はペレットであったり、他の牧草や野菜から摂ることを考えてほしいそうです。



この先は、スライドを使ってのアメリカの農場におけるチモシー収穫風景の紹介です。
興味のある方は、「つづきを表示する」をクリックしてご覧ください。
PageTop

うさぎの健康と食餌 (うさフェスタ2013 講習会)

うさフェスタ2013、講習会の内容をご紹介しますね。
スライドの写真を撮ってきたはいいけど、画像処理に時間がかかるのでどこまで続くかあやしいですが・・・。

まずは、「ウサギとモルモットの病院 Hello」の林典子先生の講習会から。
内容的には、2年前の講習会とほぼ同じですので、ここではスライドのみのご紹介とさせていただきます。
モニターに天井の蛍光灯が反射してしまって、非常に見づらいですが、興味のある方はお付き合いください。

スライドが50枚近くと非常にボリュームがあるので、「つづきを表示」をクリックしてご覧ください。
スペース節約のため、一部画像のサイズを小さくしてありますが、見にくい場合は画像をクリックして大きくしてご覧ください。

2年前の講習会内容はこちら   【ウサギの健康と食餌】



スライド1 スライド2



スライド3 スライド4


PageTop

うさフェスタ 講習会 ‐ 病気予防の観点から見た飼育法

講師 : 成毛 淳人 先生 (シンシア動物病院)

成毛先生は、きち動物病院で修行なさった先生。
その後、エキゾチックペットクリニックに勤務していらっしゃいます。
きち動物病院の待合室には、ウサギ休診日の駆け込み先として、シンシア動物病院病院の連絡先を記したカードが置かれています。
見れば、今年の2月に開業なさったばかりなのですね ^^

演台に立つなり、 「こんなにたくさんの人が来るとは思わなかったもので・・・」 
と、先生、ちょっと緊張気味。
うさフェスの1階の講習会は、毎度、立ち見の人が会場を壁のように取り囲むんです。

お話の内容は、消化管うっ滞、不正咬合、ソアホック、熱中症、尿石症、子宮疾患の6項目でした。


1.消化管うっ滞 
食欲不振、糞の縮小・減少、下痢・軟便
背中を丸める彎曲姿勢をとることがある。
急性症状のときは特に注意!

発生機序
● ストレス ⇒ 胃腸の機能低下 ⇒ 食欲不振
● 食事   繊維が少ない  
● 異食 (壁紙、ペットシーツなど)
● 毛球
● 水分不足
● 運動不足

日常、気をつけること
● 30分-1時間程度の運動
● 水分摂取  生野菜など水分を含むものを与える
● 繊維質 (牧草)
● 異食の防止
● ストレスの軽減

季節により気をつけること
● ブラッシング

◎ ウンチの形、量


2.不正咬合
● 先天性のものは、下顎突出症 (受け口) など。
  治療はできない。 このような個体は繁殖に使用しない。
● 後天性のものは、目にすることが多い。
  事故、ケージ齧り(齧れないようにケージの内側にバーベキューの網などをはると良い)、
  不適切な食事、代謝性の骨異常 (バランスの良い食事、質の良いペレットを選ぶ)
  などによる。

特徴
切歯の不正咬合は見つけやすいが、臼歯は発見が遅れる。
臼歯の不正咬合により、食欲不振、よだれ、顔や顎の腫れ、目やに、涙などが見られる。


3.ソアホック 
足の裏の血行が悪くなることにより起こる。
進行すると膿瘍や骨髄炎などになることもある。
レッキスや大型種に多い。

ソアホック 
                                (おヘタでゴメンナサイ
グレード1 : 小さなハゲ
グレード2 : 赤みが出てくる (軽度)
グレード3 : かさぶたになる (中等度)
グレード4 : 潰瘍、足の変形 (重度)

原因
● 環境 : 汚れた床、トイレ
       金網の床
● 運動 : 同じ姿勢でずっといる
● 肥満 : 足裏にかかる重量の増加
● ストレス : スタンピングの増加

予防
● 有効な対処法はない。
● ポイントはなるべく早く気付いてあげること。
● 柔らかい床材 : 低反発マット (齧らない場合) 、厚く敷いた牧草
  完璧な床材はない。 試行錯誤の対処になる。
  うさぎのしっぽさんの 「OKYスプレー」 を床に吹き付けることで、予防になる。
  (グレード1、2まで)
● 生体要因 : 運動させる、ダイエット、ストレス軽減

4.熱中症 
ウサギにとって理想的な温湿度 : 18-28℃、40-60%
1日の温度の最高と最低の差が10℃以内がストレスのない環境。

症状
● 口を開けてハーハー呼吸する
● よだれ
● 発作、昏睡 : こうなると助けるのは困難

予防
● 温湿度に注意する。 最高最低の記録できる温度計を置く。
● 風通しを良くする。
● いつでも飲水できるように
● ダイエット (太りすぎに注意!)
● 体温が高いことに気づくこと
● 長毛種ではサマーカットも有効


5.尿石症 
特徴
犬猫はカルシウムの殆どを糞便で排泄する (尿は2%) が、ウサギは45-60%を尿から排泄する。

原因
● 高カルシウム食 (アルファルファなど)
● 飲水不足
● 肥満 :運動不足が大きな要因。
      膀胱にカルシウムが沈殿しやすく、固まりやすくなる。
● トイレやケージの汚れにより、オシッコをガマンする。
● カルシウム、ミネラルを含むサプリメントの摂取

症状
● 濃いペースト状の尿
● 頻尿
● 排尿困難 (長くトイレに座っている)
● 血尿
● 歯ぎしり、背中を丸める (痛み)

予防
● チモシー主体の低カルシウム食
● 十分な飲水、生野菜
● 十分な運動

◎ 症状が進んでからの来院が多い。 
  気づきにくいのはトイレ材にも原因があるのではないか。
  濃い色のチップだと尿の色が分からないので、なるべく色の分かるものを使ってほしい。


6.子宮疾患 
特にダッチ、ヒマラヤンに多い。
なりにくいのは、レッキス、ベルジアンヘア。
3歳以上で50-80%の確率。

症状
● 初期症状はない
● 血尿 (出血性分泌物)
● 持続的偽妊娠
● のう包性乳腺炎、しこり
● お腹の張り、腹部膨満

血尿
ウサギにはポルフィリン尿というオレンジ色の尿があり、血尿と見分けにくい。
見た目では分からないので、尿試験紙で潜血の有無を確認する。

予防
● 避妊手術 (卵巣・子宮とも摘出) が唯一の予防。
  6ヵ月を越えれば手術できる。 是非、お勧めしたい。
● 全身麻酔が怖いという人は、早期発見に努める。
  自宅で気付くのは難しいので、病院で定期健診を受けること。
  レントゲン、超音波検査で確認する。


まとめ 
● その子、その子に合った飼育法を探すことが大切。
● 気づければ防げる病気も多いので、正しい知識を持って。
● ウサギは症状を隠しやすい動物なので、日頃からよくコミュニケーションをとること。


PageTop

うさフェスタ 講習会 - ウサギの健康と食事

講師 :林 典子 先生 (ハロー動物病院)

こちらは、ウサギを長生きさせるための食事についてのお話。
結論から言えば、 とにもかくにも、「乾牧草を中心とした食事」 ということでした。
スライドの写真を撮ってくればよかったのですが、お話をメモするのが精いっぱいで、ゴメンナサイ。
言葉での説明だけでは分かりにくい個所もあろうかと思いますが、想像力を働かせてお読みください。

ウサギについて 
ペットとして飼育されているウサギはアナウサギ。
ウサギ目に属しますが、昔は重歯目と呼ばれていました。
重歯目という名のいわれは、上あごの切歯(前歯)2本の裏側にさらに小切歯が2本あること。
臼歯(奥歯)とあわせて、草をすりつぶして食べるのに非常に適した構造になっています。

穴を掘るための前足は非常に敏感で、あまり触るとイヤがることがあります。
(えーーーっと、カワイイもんで、今まで触りまくってました

巣穴の中は18℃前後、1日を通してほぼ一定温度を保ちます。

ノウサギはヘアと呼ばれ、アナウサギとは別種。
姿かたちは似ていても、アナウサギとノウサギではネコとライオンほどの差があります。
鳥獣戯画に描かれているウサギや因幡の白兎はノウサギ。
ピーターラビット(ワタオウサギ)がアナウサギ。

その野生のワタオウサギが暮らしている場所の写真を見せていただいたのですが、夏は青草と枯れ草が半々の状態、冬は枯れ草のみという環境です。
冬場は枯れ草と木の根っこを齧って暮らしているそうです。

非常に食物の乏しい環境で暮らしていますので、野生のアナウサギは非常に痩せています。
しかし、これがアナウサギという動物の普通の状態なのです。
ペットのウサギの多くは太り過ぎ

アナウサギを家畜化したのがイエウサギ。
完全草食動物。
繊維の粒子の大きさが重要。

前歯で草を刈り取り、奥歯ですりつぶします。
根元に問題がなければ、歯は生涯、伸び続けます。
ということは、適度にすり減ってくれないと困ることになります。

歯の正常な摩耗を促すためには ―
 草を食べる 
草にはシリカという研磨物質が含まれていますが、野菜にはそれは含まれていません。
人間が食べやすいように柔らかく品種改良された野菜は、ウサギさんの歯には適さないようです。

ウサギが食べている様子を観察すると、
 ペレットでは噛む回数が少なく (ガツガツ食べる)
 草の場合は、1本ずつ食べます。
顎の動かし方にも違いがあります。

ウサギの盲腸は巨大です。
腸内細菌の力で食べた物をここで発酵させます。
ウサギは食糞をしますが、これによってビタミンB、ビタミンK、たんぱく質などを補っています。

大きな腸を正常に動かすには、
 食物繊維が重要 
不消化な繊維をたくさん含むものが必要。

便を見る ― 健康のバロメータ
硬便 (普通の●) と盲腸便 (ぶどうの房状の柔らかい便)
盲腸便は午前中に排泄されることが多い。
盲腸便を残す 繊維が足りていない。
体重 1.5kg のウサギで、直径12mmの盲腸便をする。

●の粒
 大きい : 食欲が維持されている。適切な繊維摂取ができている。
 小さい : 食欲がない
       食べたくても食べられない
 軟便  : 繊維不測、炭水化物過剰、腸内細菌叢の異常


健康とは? 
器の中にストレスが入っているという図の説明。

ストレスが器からあふれ出ない状態 : 健康
ストレスが大きくなって器からあふれ出た状態 : 病気

器の大きさによっても変わってくるし、いくら器が大きくても溢れ出てしまうこともある。
健康な状態を維持するためには、ストレスを減らすという方向と、ストレスに負けない強さを身につけるという方向があるということでしょうか。

ストレスの要因 :
 騒音
 不適切な温湿度
 痛み
 不衛生な環境
 換気
 不適切な食事

● 「食べられるかも」 という恐怖を感じる動物。
● 適正温度はイギリスでは 18±2℃ と言われているが、日本では 20±2℃ で良いのではないか。
● 25℃を越えると胃腸の動きが衰える。 26℃で異常。
● 飼い主の不在、食器が変わったなどもストレスに。 割と男の子の方が弱い。

適切な食事は、器を大きくする効果とストレスを減らす効果、両方を併せ持ちます。
食事に関連した病気は多く、病気の悪循環をも起こします。

歯が悪ければ、消化器系にも異常が起こります。
太ることによって、腎臓への影響が現れます。
食べ残した盲腸便が体につくと、皮膚疾患になります。

咬合異常の原因 : 不正咬合の殆どの原因は草を食べないことによるもの 
● 落下事故による前歯の不正咬合
● ケージ齧りによる前歯の不正咬合
● 草を食べないことによる奥歯の不正咬合
● 男の子に第2臼歯の咬合異常が多い

歯が原因でおこる病気
● 顔面膿瘍
● 流涙  下の歯は眼の方向へと伸びる
  細菌感染により、流涙症から涙嚢炎へ
● 胃腸の運動低下
  慢性的、間欠的な軟便 ― オヤツのあげ過ぎが原因の事も
  この場合、薬は使わず、食事の改善で治す。 約3ヵ月を要する。

適切な食事
不正咬合の子では、歯科処置の間隔を延ばす効果がある。
ペットのウサギは、18-24%の繊維が必要。

ウサギの特徴 :
● 繊維を効率よく利用している
● カルシウムを速やかに吸収し、尿から排泄する

ウサギに優しい食事
● 低たんぱく
● 高繊維
● 低脂肪
● カルシウム制限

食事の管理
主食  : 牧草
副食  : ペレット、野草、野菜
オヤツ : 野菜、野草、ごく少量の果物
      ただし、果物には果糖、二糖類が含まれていてウサギにはよくない
      コントロールできる場合にのみ、たまにあげる程度に

乾牧草はチモシー主体で。
アルファルファはいけない訳ではないが (ウシでは乳量をあげるためにアルファルファを与える)、嗜好性が高く、高たんぱく、高カルシウム。
低エネルギー、低たんぱく、低カルシウムのチモシーの方を勧めたい。

チモシーを食べない子にはグラスヘイを与えたがる傾向があるが、茎の長いものをあげてほしい。
柔らかい葉っぱばかりのものではダメ。

野菜、生牧草、野草の適正量は、体重 2.5kg の子で、カップ1杯と覚えると良い。

ラビットフード (ペレット)
● 低カルシウム、高繊維のものを。
● エキスパンドタイプ (荒い繊維、空気でふくらましてあるもの)、
  粒の小さいタイプ (顎をよく動かす効果) が良い。
● ハードタイプは粒子が細かすぎるのでお勧めできない。

給餌量 : 1日当たり、体重の 1-1.5%
よく、一握りとおっしゃる方がいるが、それは不安定な量。
重量を確認して与えてほしい。

野菜、果物
● ミックスフード (野菜や果物のチップが入っているフード) はNG
  いろいろ入っていて体に良さそうと勘違いする人がいるが、栄養の不均衡を生じる恐れがある。
● 野菜や果物で糖度の高いものは、胃腸運動の低下、細菌叢異常を生じる恐れがある。
  葉物を与えるように。
● 野菜のみでは繊維不足を生じる。
  嗜好品として少量を与える。

含有繊維量の例 (%) 
 チモシー     23.7
 生牧草       3.4
 アルファルファ  19.5
 キャベツ      1.6
 大根葉       1.2
 リンゴ       0.7


生牧草は野菜と同じ位置づけ。
基本は、干した草。

野草
タンポポ、オオバコ、ハコベなど
ビタミン、ミネラル、発酵可能な繊維、不消化繊維のバランスが良い。
キク科植物のタンポポを好むが、便を軟らかくする作用があるので、オオバコやハコベを少し混ぜてやると良い。
よく洗って、水分を拭き取ってから与える。

トリーツ類 (与えないこと)
油で処理されているもの、炭水化物を多く含むものはダメ。

嗜好性は離乳期に覚えた味に左右される。
ペレット食の母親の乳を飲んだ子は牧草を食べないことが多い。
小さな頃に覚えた物しか食べない。
 (この件については、ちゅんちき的には異論があります。
  我が家のウサギ、9匹中7匹が実験動物で、先祖代々、ペレットしか食べた事がないはず
  ですが、牧草嫌いな子はいません。
  しかし、ペットウサ出身の はる は牧草嫌い。 同腹のまいは牧草大好き。 故あいは牧草嫌いでした。
  母親の味とか、幼少期の食事はあまり関係ないように思います)


管理 
● 牧草を中心に副食を与える。
● 給餌量 (固形物) は、維持期は 体重の3%、 成長期は 体重の5%
● 1日2回、野菜は全体の10-15%にとどめる。
● 定期的に体重測定。
● 絶食はしてはいけない
● 急に食事内容を変えない ― ウサギの消化器はデリケート
  肥満の子が絶食すると、たちどころに肝臓に脂肪がたまる。
  数時間で変化。
  ペレットの変更は1ヵ月くらいかけて。
● ウサギは夕方の4時から翌朝8時にかけて、1日量の85%を食べる。
  この時間内に2回与える (朝7時、夜6時など)
  この間に野菜をあげてもよいが、日中はあまり食べない。
  盲腸便が出るのが午前中。
● 体重 1.5kg の子の食事例
  チモシー  20g
  ペレット  20g
  野菜など  5g (水分込みで20g )
● 給餌量、食事内容は体重や便の状態を見ながら調整する。
● 食器は、その子に合ったものを、合った高さに。
  咥えられない陶器製、もしくは固定式のものが良い。
● ウサギはたくさん水を飲む。 平均飲水量 120mL/kg (イヌは40-60mL)
● 冬、飲水量が減っているときはぬるま湯を。 常に新鮮な水を。
● 給水器は床置きの場合は、小鳥用のサイフォン式のものが良い。
  ウサギ用は飲み口が広いので汚れやすい。
  ボトルの場合は、ノズルの先端に入っているボールが2個のもの、
  シャフトが付いていて下に降りる構造のものが良い。
  ノズルのOリング(ゴム)の寿命は2年。 2年ごとにボトルの交換を。
  内部に緑藻が付いて、それが原因でお腹をこわす場合もあるので、1日1回、
  ペットボトル用ブラシで洗浄する。
  ノズルの詰まりに注意すること。
● 食欲低下時は、いつも食べているペレットをふやかして強制給餌する。 
  ぬるま湯でふやかして、先端をカットしたシリンジを使う。
  奥歯の当たるところまで入れる。
  ウサギの縄張り内でやると暴れるので、普段、その子が行かないところでやる。
  (洗面所、お風呂場など、投薬のときも同様)
● 10-15分程度の跳躍運動は、胃腸を動かす効果。
  ただし、放し飼いの場合は、いくら運動しても胃腸は動かない。
  全部、自分の縄張りになっているので。
  生活にメリハリをつける。 抱っこして出して、抱っこして戻す習慣。
  適度な刺激になる。
● 効果的なしかり方。
  その瞬間に、スリッパで床を叩く (スタンピングと同じ効果)
  タイミングがずれると、何を言われているのか、何が危ないことなのかを理解できない。



PageTop