たまにゃんさまから、
【ボタスキー君】 の記事にコメントをいただきました。
たまにゃんさまがお勤めになっていたのは私と同業か、もしくは関係の深い会社だと思いますが、こんなふうに思ってお仕事をされていた方がいらっしゃったことを知り、嬉しく思いました。
自分がこの仕事を選んだのは、就職が厳しい中、たまたま求人があったというのもありますが、「動物試験が必要悪であるなら、それは私がやる」と強く思ったからでした。
誰かがやらなければならない仕事なら、それは動物を愛する者がやらなければならないと思ったからでした。
もし、命を命とも思わない研究者がそれをやるとしたら・・・実験動物たちには不幸なことだろうと思いました。
自分に何かできるとも思いませんでしたが、彼らに「ありがとう」と言うだけでも、そして、一瞬でしかないにしても、彼らの傍らにいて彼らの存在を記憶に刻む人間がいることは、決して無駄なことではないと思いました。
そして・・・本当に無数の動物たちが目の前を通り過ぎていきました。
ニゴしゃん私が入社した当時は、動物に対して心ない扱いをするスタッフも何人かおりました。
ただ、いくら新人が NO を言ったって、一笑に付される、そういう世界でもありました。
自分の無力さに打ちひしがれることも度々でしたが、それでも、年々入社してくる新人の中にも動物好きの人はいる訳で、次第に動物を優しく扱う風潮が浸透していきました。
また、皮膚刺激性試験に使うウサギの購入匹数が必要数に対して多すぎると常日頃、ブチブチ文句垂れていましたら、ある日、時の上司が「減らせ」と鶴の一声を発してくれまして、1試験当たりの購入匹数が1匹減ったということもありました(それでも、まだ多いんですけどね)。
勤続年数を重ねてそれなりに役職もつけば(名ばかりですが)、動物の扱いについて苦言を呈すれば、現場のスタッフも言う事を聞いてくれるようになるとか、そんなこともありました。
会社が動物の処遇改善に対してお金をかけないとかナントカそんなこともありますが、自分にもできる事があるじゃないかって気付いたとき、嬉しかったんですね。
イチゴちゃん幸か不幸か自分は研究部門ではなく、監査(信頼性保証)部門に配属されました。
どうやら、社長に「虫も殺せないんじゃないか」と思われたためらしいですが・・・。
当初はそれがすごく不満でしたが、今になってみれば、これで良かったのだと思っています。
毎日のように解剖や動物の処分を担当するような立場だったら、いずれ耐えきれなくなっていたでしょうから。
もちろん、それを目にしない訳にはいきませんし、特にダッチの解剖のときは自分が現場へ行くようにもしています。
解剖をしている人と、このウサギが如何に素晴らしい動物であるか話しをしたりもします。
こういう仕事をしていても、多くの人はウサギはおバカだと思っていらっしゃいます。
実験動物の枠を越えた話ではあるけれど、現場のスタッフに知ってもらえればおのずと扱いも変わって来ます。
自分は現場のスタッフではないので、余ったウサギについて処分を待ってほしいとか、譲ってほしいとか、検討試験には使わないでほしいとか、そんな交渉もしなくてはならないという不便さはありますが、それでも、これは今の立場だからできることとも思います。
圧倒的大多数の動物は生き延びるチャンスはありませんし、残った動物も殆どが救えない。
そんな中にあって、まだ若くて人間の伴侶動物になれる素質のある子たちについては、何とかチャンスを与えてあげたいと思うのです。
同じダッチだって救えない子たちもいます。
本当にごめんねって手を合わせるしかないのだけれど、だからこそ、チャンスのある子には幸運をつかんでほしいと思うのです。
ビリー君実験後の動物について正式に譲渡の道が開ければ、また違ったやり方もできるのかもしれませんが、もぐりでやっているというのが現状です。
だから、あまり目立ったこともできません。
実は、WhiteCat に募集を出すこともかなりな冒険で、半分首をかけてやっているようなもので・・・
自分1人なら何とでもなるのですが、これだけ扶養家族が増えた今となっては職を失うのは厳しいです。
仕事を辞めたいと思った事は一度や二度ではないので、これで辞められたら本望かも・・・という気もしないでもないですが。。。
ウサギさんの命を思えば、大したことじゃないですね。
男の子は総勢16羽、女の子を入れれば20羽という数にめまいがしそうなこともありますが、それでも、これは自分にしかできないことだし、自分が動かなきゃウサギさんに未来はない。
自分が動けば、ウサギさんもウサギさんを迎えてくださる方も両方が幸せになれる、そう思うと、今はウサギさんのために働けることが嬉しいです。
現役時代は命を張って医療に貢献しましたが、チャンスがあるなら、伴侶動物として人間を支える力のある子たちです。
この世に生を受けた、その使命を一度は全うした子たちですが、ウサギさんたちにはまだもう一つ役割があると信じたいと思います。